ソニー製品情報
丸亀市議会議場
香川県・丸亀市(人口:約11万人)では、1992年から市議会の広報活動・情報公開の一環として本会議の模様を地元のケーブルテレビ局で生放送・再放送を行っています。中継/収録を担当する中讃ケーブルビジョン株式会社(CVC)様は、2006年8月にこの議会の中継/収録にライブコンテンツプロデューサーAnycast StationとリモートカメラBRC-H700を採用した、コンパクトで高機能なシステムを導入しました。2006年9月の定例市議会から運用を開始し、効率的なワークフローで高画質の中継・収録を実現するなど、大きな成果を得ています。
丸亀市議会 副議長 大前誠治様は、市議会の模様を放送する意義を市民への情報公開と議会活動の活性化にあるとお話になっています。「何といっても映像ならではの情報量の豊富さ、分かりやすさが放送の特長であり、魅力です。市民生活に密着した議題や質疑応答の様子をお茶の間のテレビで気軽に見ていただくことで、内容が明確に伝わるだけでなく、市政への参加意識を高めてもらうこともできます。一方、議員も放送が前提となっていることから、より活発で熱心な質疑応答が行われるなど、議会活動の活性化にも大きく貢献しています。実際、市民から市政や自分の意見について声をかけられることも少なくないので、放送する意義は大きいと実感しています。」
丸亀市議会
副議長 大前誠治様
しかし、市議会の生中継に問題がなかったわけではありません。大前様は、それが中継や収録を行うためのシステムや機材にあったとお話になっています。「これまでは中継のために、議場内に2台のカメラと2名のカメラマンが入り、カメラケーブルが場内に引き回されていました。演壇に向かうときなどに邪魔となるなど、議事のスムーズな進行の阻害要因となっていました。発言に合わせてカメラが動き回るなど、議員間でも目障りで集中できないと評判が悪く、改善を要望する声が数年前から高くなっていました。」
中讃ケーブルビジョン(株)
報道部 番組制作グループ
グループ長 長本志朗様
この改善要望は、中継/収録を担当する中讃ケーブルビジョン様に伝えられました。実は、同局でもワークフローを改善するためにシステムの更新を願っていたと、お話くださったのは報道部 番組制作グループ グループ長 長本志朗様です。「今回のシステム更新は、議会の要望に応えることが第一の目的ですが、当社の運用面でも従来のシステムには難点がありました。会期中は連日中継車を持ち込み、そこからケーブルを議場まで引き込み、カメラをセットし、市議会終了とともに今度は撤収作業を行う必要がありました。大勢のスタッフと、大変な労力を必要とする業務で、何とか効率的なワークフローで中継/収録ができないものかと悩んでいたのです。」
この両者の悩みを一挙に解決したのが、ライブコンテンツプロデューサーAnycast StationとリモートカメラBRC-H700を使った、コンパクトで高機能な中継/収録システムでした。議場には、議長席の壁面と傍聴席の壁面にBRC-H700が設置されるだけで、カメラのコントロール、スイッチングやミキシング、テロップ処理などの中継/収録のオペレーションは、傍聴席の端に設置されるAnycast Stationで行われます。議場内のワンマンオペレーションが実現したことにより、効率的かつ高画質の中継/収録が可能になりました。
長本様は、今回の中継/収録システムを発想する起点になったのがAnycast Stationであったとおっしゃっています。「ビデオスイッチャー、オーディオミキサー、液晶ディスプレイ、さらにテロッパーまでを一体化したユニークな商品でした。カメラコントローラーも搭載していましたから、これとリモートカメラを組み合わせれば、念願の中継/収録システムに構築できるのではないかと考えました。唯一不安だったのが、これだけ凝縮したシステムで果たして生中継が可能だろうか、という点だけでした。」
新システムは2006年8月に導入され、夏休みに地域の小・中学生を集めて行われる模擬議会「ミニ議会」に運用され、ついで2006年9月の定例市議会の中継/収録に運用されました。大前様は、議会の要望に的確に応えてくれたと、大変高く評価されています。「議場内の無人化だけでなく、設置されたカメラやオペレーションをまったく意識することなく議題に集中することができるようになりました。ほかの議員からも同様の声を聞きますし、放送を見た家族の話では、画質も前よりきれいになったと言っていました。」
傍聴席の壁面に設置されたBRC-H700
議長席の壁面に設置されたBRC-H700
長本様も、期待していたワークフローの改善だけでなく、想像以上の使い勝手の良さで唯一の不安も解消されたと評価されています。「従来は設置と撤収を会期中毎日行っていました。4〜5名のスタッフで、設置に約1時間、撤収に約30分かかっていました。それが新しいシステムを導入することで、会期中はセットした状態で管理できますし、カメラのプリセットやテロップなどを前日に仕込んでおけるので、セッティング・スタンバイが約10分で完了します。Anycast Stationでワンマンオペレーションが可能なので、2名のスタッフで中継/収録が可能です。不安だった操作性の面でも、想像以上に使い勝手が良く、これは嬉しい誤算でした。9個の液晶ディスプレイで入力素材や出力映像を一覧できる点などが、操作性の良さに貢献しているのではないかと思っています。2006年12月の定例市議会ではパソコンも接続して、テロップのページめくりなどに活用したいと思っています。」
BRC-H700をリモートコントロール
傍聴席の1人分のスペースでAnycast Stationをオペレーション
今回導入されたAnycast StationとリモートカメラシステムBRC-H700は、市議会の会期中以外はほかの番組の中継/収録にも運用されています。長本様は、コンパクトで機動力が高く、幅広い中継/収録業務に有効に使えると評価されています。「2006年8月に導入して、ミニ議会や定例議会の期間を除いて、すでに5回の収録業務に運用しています。たとえば、ホテルの12階で開催された健康講演会の収録で使ったのですが、このように中継車を持ち込む運用が難しい場所でも、手軽にワンマンで中継/収録を行うことができました。囲碁大会の収録では、BRC-H700とコンポジットのカメラ計4式を使ってAnycast Stationで収録を行いました。テロップの抜けの良さを生かしてテロッパーとして運用したこともあります。とにかくAnycast Stationがあれば、一人で収録に行くことができますし、生中継についても小さな規模のものから使っていきたいと計画しています。具体的には地元のコミュニティセンターから月に1回程度、その地区の特別番組を生中継するといった運用です。スタッフ数が限られるケーブルテレビ局にとっては、非常にメリットのある制作ツールだと実感しています。」
香川県では2006年12月から地上デジタル放送が開始され、これに合わせてCVC様でも2007年春を目標にコミュニティチャンネルのデジタル化・ハイビジョン化を計画されています。長本様は、ハイビジョン化に向けた設備の更新が順調に進んでいるとお話になっています。「OFDM方式によるハイビジョン化を計画しており、すでにスタジオサブや送出系は、ハイビジョン放送に対応できるシステムで更新しました。また、本社屋上にBRC-H700をお天気カメラとして設置しており、ハイビジョン撮影を開始しています。同時にハイビジョン取材機としてXDCAM HDカムコーダーPDW-F350LとレコーダーPDW-F70を導入しました。BRC-H700と併用することで、番組、CM、ビデオパッケージのハイビジョン撮影が可能です。編集は、HDノンリニア編集機を使い、素材をHD完パケすることで送出サーバーの入口はHDだけというシンプルな構成にしたいと考えています。」
そして長本様が、ハイビジョンコンテンツ制作ツールとして大きな期待を寄せているがAnycast Stationです。「Anycast Station導入の決め手の一つが、ボードを買い足すだけでHD化できる点でした。また、HD/SDの混在運用が可能ですから、既存の設備や機器を有効に活用できます。PDW-F350LやBRC-H700といったハイビジョンカメラだけでなく、既存の業務用ビデオカメラDXC-D50などとの混在運用で、幅広いアプリケーションに対応できます。これにより、ハイビジョンコンテンツの制作が効率的に行えるのではないかと期待しており、HDボードの発売に合わせて購入する予定でいます。」
Anycast Stationは今後、年4回の定例市議会、臨時市議会の中継/収録のほか、番組やCM、VP制作にも有効に活用されます。そして自主放送のハイビジョン化に向けた計画の中で、ハイビジョン素材やハイビジョンコンテンツ制作にも威力を発揮することになりそうです。
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