当社の強みはスポーツですので、まずスローに力を入れました。HDで16倍速、4Kで8倍速が可能なマルチフォーマットポータブルカメラHDC-4800を2式、そのほか、マルチフォーマットポータブルカメラHDC-4300 も10式、CCUとコントロールパネルは16式を常載しています。スイッチャーはマルチフォーマットプロダクションスイッチャーXVS-9000をHD時112入力8M/E、4K時56入力4M/Eの仕様で搭載しています。コントロールパネルは36ボタンタイプを4段分搭載し、1段単位で4M/Eすべてを自由に持ち出せる作りにしています。当面5M/E以上のコントロールは、パネルの表裏2面スワップ機能を使用しながら運用し、需要が増えた場合には拡張も考えています。マルチポートAVストレージユニットPWS-4500も搭載し、ファイルベース収録の要望にも備えています。

カメラはHDC-4800を2式とHDC-4300を
10式、常設

4K中継車を構築するにあたり、12G-SDIかIPかで悩みました。我々が主力にするコンテンツがスポーツ中継であることもあり、お客様には遅延を気にされる方もいらっしゃいます。パッチをはじめ従来の運用ができることも重視しました。そのため、今回は12Gを選びました。将来的に12GとIPのどちらが主流になるかはわかりません。IPのメリットにも惹かれていましたので、本当に悩みました。
HDRについては、S-LogやHLGのほか、新しく登場したHLG_Liveにも対応しています。これら、HDRの制作ワークフローや搭載モードについては、我々もどれに対応したらよいか悩みましたので、ソニーの提案を参考にして決めました。システムの切り替えは、ワンタッチで中継車全体の一括切り替えが可能です。

システムの映像フォーマットを一括で変換するフォーマットチェンジャーを装備

当社の中継車として初めて拡幅を導入し、両拡幅としています。各席着座時でも、スイッチャー卓の背後で人の往来が可能になりました。同時に、スロー卓側を拡幅しない場合でも席を潰さずに運用が可能です。人だけでなく機材の空間も大きく取りました。車輌最後部に、観音開き扉を備えた大きなユーティリティースペースを設け、仮設機器をキャリングケースに入れたまま設置できるようにしました。

運用を開始して既に3カ月が経過し、ゴルフ・野球・サッカー・トライアスロンなどの現場で運用を行いました。ソニーのシステムでは、いままでできたことは当然でき、いままでできなかったこともいろいろできます。4K HDRなどもその1つですが、できることが多い分、習得するべきこともたくさんあります。ソニーのシステムは初めてで、自分たちにとってゼロからのスタート、新たな挑戦でもあります。ソニーのSI・技術のメンバーとのコミュニケーションもより深めていきたいです。
4KやHDRでの制作については、システムを習得しながら段階的に取り組んでいこうと思っています。できることも広がりましたので、いままで主力にしてきたスポーツにとどまらず、例えば音楽など、他のジャンルにも積極的に取り組んでいきたいと考えています。