スイッチャー

日本テレビ放送網株式会社 様

2020年3月掲載

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4K HDR対応の局内最大スタジオ。“必ず叶えてくれる”ソニーのSIを実感

日本テレビ放送網株式会社様は、同社麹町スタジオの建て替えに伴い、新たに番町スタジオ局舎を新築。12G-SDIを採用し、4K HDR収録・HD生放送に対応する、同社汎用スタジオ最大となるC1・C2スタジオをオープン。2019年2月から運用を開始されました。

  • 川崎 淳様

  • 鈴木 裕美様

  • 鎌倉 和由様

  • 星 勇次様

から
日本テレビ放送網株式会社 技術統括局 制作技術統括部 専門副部長 佐藤 勝義様
株式会社日テレ・テクニカルリソーシズ 制作技術センター 制作技術部 VE 鈴木 裕美様
株式会社日テレ・テクニカルリソーシズ 制作技術センター 制作技術部 担当部長 鎌倉 和由様
株式会社日テレ・テクニカルリソーシズ 制作技術センター 制作技術部 カメラマン 星 勇次様

看板バラエティを担うC1・C2スタジオ

今回稼働を開始したC1・C2スタジオは、主にゴールデンタイム・プライムタイムの人気バラエティ番組の収録に使用している当社最大の汎用スタジオになります。類似用途のスタジオは、汐留本社局舎内にもS1・S2スタジオがありますが、それらと合わせて使用しています。C1・C2の両スタジオは、基本的な構造やシステム構成を同一にし、柔軟な番組運用を可能とする“双子構成”の作りにしています。

4K HDRで先行していたソニーを選択

C1・C2スタジオは次の更新までの使用期間となるおよそ12年後を見据えて4KやHDRへの対応を行うことにしました。計画開始当時、HDR制作に対する知見で最もリードしていたメーカーがソニーでした。そこでソニーにシステムインテグレーションに加わってもらうことにしました。

2015年の立案開始当時ではインターフェースとして、3G-SDIによるクワッドリンクは将来を見据えると非現実的に思え、12G-SDIを選びました。

4K・HD 完全分離システム構成

4K HDR と HD SDR の番組制作を実現するHDRC-4000

基本構成を検討するにあたり、4KやHDRへの対応が、既存のHDの制作に制約や不自由を与えることがないことを必須条件としました。そこで、4KとHDで完全に分離したシステム構成を採用することにしました。例えばスイッチャーについては、マルチフォーマットプロダクションスイッチャーXVS-8000を各スタジオにHDと4Kの2プロセッサーで備えています。HDは4M/E構成、4Kは3M/E構成です。

HD制作では汐留本社と接続しての生放送にも対応できるようにしましたので、入力数なども4K側より多数備えています。サイマル制作の方法については、4KをHDリンクさせる方法なども検討しましたが、最終的にHDRプロダクションコンバーターユニットHDRC-4000により4K HDR出力をHD SDR変換する形に決めました。

ファインダーの良さが魅力のソニーのカメラ

カメラ構成はHDC-4300を6台ずつ、さらに共用で3台です。加えて、両スタジオ共用のクレーンカメラとしてHDC-P43が1台あります。

カメラマンにとっては、カメラはファインダーが命です。ファインダーの見やすさについては、ソニーは他社の追随を許さない使い勝手や映りの良さがあります。当社では主に0.7型有機ELビューファインダーHDVF-EL30を使用していますが、従来通りのアイカップを覗くスタイルに加え、上部の3.5インチLCDモニターを跳ね上げて使うスタイルがとれることがとても便利です。フォーカスアシストやフォーカスポジションメーターなどのカメラマンをアシストする機能の充実や、ファインダーの設定項目の豊富さなど、カメラマン好みにアレンジできる使い勝手も好評です。

スタジオ内のカメラはHDC-4300。クレーンにはマルチパーパスカメラHDC-P43を採用

HDR 4K メインモニターはPVM-X550一択

モニタリングについては、モニターパネルの中心に55型業務用4K有機ELモニターPVM-X550を2台配置しました。制作環境を重視し、50インチクラスのモニターが譲れない条件でした。4K HDRに対応の50インチクラスと言うと、ソニーのPVM-X550は業界唯一の選択肢でした。一方、VE卓のマスターモニターとしては、31型4K液晶マスターモニターBVM-HX310を配置しています。

モニター棚、メインの2枚にはPVM-X550を採用。
操作卓からの目線に配慮した配置

VE卓上にはBVM-HX310を設置

すべての要望に向き合い“叶えた”SI

今回の導入では4K HDRへの対応にあたり、システムのフォーマットを一括切り換えできるソニーオリジナルのシステムを入れてもらいました。ボタン1つでHDや4Kへの切り換えが完了します。完全にそれだけで済むわけではないですが、多くの機器を個別に設定して回る必要がなく、とても便利でスピーディーです。

また、機材にはじまり、施工についてもいろいろとリクエストをして対応をしてもらいました。例えばカメラやスイッチャーの台本台、スイッチャー席からの視界に収まるネジ1本の頭の色に至るまで、細かな要求にも根気強く応えてもらい、使いやすいシステムになりました。

いままで、ソニーのカメラなどを長く使ってきて、経験的に「要望を出せば、そのうち何らかの形で実現してくれる」という印象を持っていました。今回のシステムでも、いろいろな要望を出し、納得いくまで4回も5回も図面を一から描きなおしてもらう場面もありました。しかし、むげに「できません」と言うことなく、真摯に考えてくれ、最終的にはすべてを叶えてくれました。

今後もスイッチャーのバージョンアップ、システム切り換えの完全な連動の実現や、カメラのさらなる軽量化やスリム化、有機ELモニターのさらなる輝度向上など、まだまだ要望は尽きませんが、これからも必ずや叶えてくれることを、ソニーには期待しています。

スイッチャーコントロールパネル卓。視界に入るネジの色にもこだわり

システムのフォーマット切り換えボタン

主な導入機器

マルチフォーマットプロダクションスイッチャー「XVS-8000」
マルチフォーマットポータブルカメラ「HDC-4300」
31型4K液晶マスターモニター「BVM-HX310」
55型業務用4K有機ELモニター「PVM-X550」
HDRプロダクションコンバーターユニット「HDRC-4000」