― 今回、外観で目を引くのが、レンズと一体化したコントロールリングです。
操作性の面でもこれまでの“サイバーショット”とはだいぶ違いますか?
東出(ユーザーインターフェイスデザイン)
コントロールリングを使うと、撮影モードによって、露出補正、絞り、シャッタースピードなどを変えられます。カスタマイズでホワイトバランスやISO感度も設定できます。
コントロールリング自体は他のプレミアムコンパクトカメラでも使われていますが、ソニー独自のスタンスとして、気持ちいい、楽しいと感じてもらえる工夫を随所に凝らしています。 「DSC-RX100」では、リングを回して露出やズームなどの設定値を変えるという操作が基本になります。
その際にただ単に数値やアイコンが変わるのではなく、液晶画面の裏で動くレンズリングを画面上で感じることができるように、アイコンやゲージが円弧に沿うようにデザインし、ハードウェアの操作と画面に表示されるユーザーインタフェイスに一体感が生まれることを重視しました。
さらに、背面のファンクションボタンを使うと、最大7つの機能を登録できます。使用頻度や好みに合わせてカスタマイズができるので、毎回メニューから設定を呼び出す必要がなく、素早く撮影に入ることができます。
「DSC-RX100」のメニューの画面構成は、高品位なカメラを望むユーザーにも応えられるよう即時性の高い"α"に近い構成を採用しています。ただ、そのまま持ってきているのではなく、体裁を一新し、プレミアムコンパクトカメラにある精密感、あらゆる環境での使用を想定した視認性なども徹底的にこだわりました。
雨宮(プロジェクトリーダー)
コントロールリングでもうひとつアピールしたいのが、あえてクリック感を出していないことです。回すとカチカチというクリック音が出るコントロールリングを採用する製品も多いのですが、この製品のリングは適度な重みを持ちつつスムーズに動きます。ズームやフォーカスのときは、クリック感がないほうが微調整しやすいんです。マニュアル動画を撮るときもそうです。録画中にカチカチ音を拾ってしまうので。でも、逆に露出や絞りの数値を決めるときにはクリック感は欲しい…。そのジレンマを解消するために、設定によっては音が出るようになっています。見た情報と、聞こえてくる音で、あたかも、そのクリック感があるように感じることができる。当たり前なんですけれども、そこもやっぱりソニーとしてのこだわりなんです。
東出(ユーザーインターフェイスデザイン)
サウンドで言えば、ソニーには専門のサウンドデザイナーがいて、コントロールリングをはじめとする操作音も彼らがデザインしています。中でもシャッター音はこの機種ためにふさわしい音を新たに検討しました。被写体を切り取るときの音というのは、無意識に気持ちいいか悪いかに関わってくるので、細かい調整をしつつ、この機種に合ういい音に仕上がっています。ぜひシャッターと音の感触を確かめてほしいですね。
皆見(商品設計)
「DSC-RX100」のように、嗜好品というか趣味の道具のような商品って、見た目のデザインとユーザーインタフェイスがとても大切だと思っています。自分にとって大切な機能だけをファンクションボタンにセットでき、コントロールリング・コントロールホイールと連動させることで、いざ撮影する時は即時性を確保しつつ撮影設定の調整がしっかり行えます。一方、ステップアップのユーザーの方は「マイフォトスタイル」を使用して簡単にお好みの写真に仕上げることができます。持つ人すべてに優しいユーザインターフェイスを目指しました。