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BE MOVED RX cyber-shot

Engineer's Voice 開発者の想い

像面位相差AFとレンズ一体型の相乗効果。新感触の、進化したスピードを獲得。

― RX1R IIのもうひとつ大きな進化がAFですね。
これはユーザーから非常に大きく期待されていた点だと思います。

種岡一仁(AF担当)

種岡(AF)
RX1R IIは、センサーに像面位相差検出方式の機能が備わっていて、対象に素早くピントを合わせると同時に、精度の高いコントラスト検出方式を併用する「ファストハイブリッドAF」を採用しています。私はそこで検出されたフォーカスの値を、AFの駆動の指示に変え、レンズに伝えて、レンズを動かしピントを合わせるまでを担当しました。RX1の開発時からAFに関わっていたのですが、やはり解像度がシビアでレンズも大きくなるフルサイズ機では、AFの精度が非常に難しいのです。満足のいく精度を出すために、最後までチームのメンバーが一丸となって、出荷のギリギリまでチャレンジしました。
RX1は、精度という面では満足いくものができたのですが、そのときすでに、RXシリーズや他のカメラにもフィードバックできるアイデアがたくさん出ていました。お客様の声でAFのレスポンスに関するものもいただいて、まだもう少し向上できるという気持ちは開発メンバーの中に残っていたので、それはRX1R IIにぶつけたいと思っていました。実際には今回の開発が始まる前にも、チームのメンバーのなかでプロトタイプを作って、どうすればこのレンズをもっと速く制御できるのか検討していました。そのノウハウをこのタイミングでちょうど生かすことができたのです。

若月(プロジェクトリーダー)
レンズの中に組み込まれた、いわゆるアクチュエーターと呼ばれるモーターは基本的には変わっていませんが、アルゴリズムは全く違うものです。像面位相差方式を採用したこと、イメージセンサーと画像処理エンジンが新しくなったことそして新たなアルゴリズムを合わせた三点が、今回のAFのスピードアップを実現しているのです。

種岡(AF)
AFに関してはガラッと変わっています。触って比べていただけると分かると思いますが、感触が全然違います。レンズ部にはフォーカスを合わせるためのレンズが2枚入っていて、それらを精度よく動かさなければいけないのですが、今回画素数が増えたことによって、RX1以上に高精度に動かす必要があります。また、ファストハイブリッドAFを搭載することによって、レンズに求められる速度もより高速になったり、より精度が高いものが求められたりするので、それに合わせて二つレンズをうまく動かさなければいけません。最終的に止めたときに本当にいい位置に来ないと、撮ったときの周辺までパリッと出ているような画になりません。そこを守るために細心の注意を払ってレンズを動かしています。
せっかくすごいレンズとすごいイメージセンサーなので、これをしっかりと生かすAF、レンズ制御を目指しました。レンズ一体型の利点を活かすのですが、へたな動かし方をすると精度も悪くなるし、不要な音も出てしまいます。目標とすべき品位を意識しながらプロトタイプで何度も試し、一番このセットにふさわしい動かし方を見つける作業を繰り返しました。レンズ一体型のカメラは交換レンズ型に比べ好きなようにレンズを動かせるので、いくらでもアイデアが出てきます。今回のRX1R IIはそれらを詰め込んだので、だいぶ思い入れがありAFとしてとても満足できるレベルになっていると思います。

若月(プロジェクトリーダー)
RX1R IIは、被写体の動きに合わせて常に追従するAF-C モードも選択できるようになっています。

種岡(AF)
AF-C モードでは、被写体を追従して常にフォーカスを合わせますが、像面位相差センサーは位置を検出できるので、無駄な動きはしないような仕組みになっています。ポートレート用に瞳AFという機能も入っているのですが、AF-Cでも瞳AFができるようになりました。ポートレートなどを撮影しているときに、たとえばモデルさんが少し動いたときでも、瞳の動きを追って、一番いいところにピントを合わせられるわけです。ポートレートはだいぶ撮りやすくなっていると思います。そこも進化点ですね。

若月(プロジェクトリーダー)
既にRX1と比べてもAFが非常に速くなったという評価をいただいています。現在RX1を使っているお客様からも、これがあるなら買い換えたいという声がありました。今まで使っていた人ほど、そこに良さを感じていらっしゃるようです。

種岡(AF)
レンズを精密に制御したAFの結果は、解像感にも影響してくるので、ユーザーの皆さんにもそのあたりを味わっていただきたいと思います。AF制御チームは、本当に最後まで追い込んでいました。何度やっても、もう大丈夫だと思っても、やっぱり心配で量産直前まで確認していました。今はとても満足しています。ただエンジニアとしては、常にまだ何かあるんじゃないかと考えていないといけないとは思いますが・・・(笑)