10月16日(水)にソニーストア銀座で行われた、ウォークマン オーナー様限定のファンミーティング『これからのウォークマンの話をしよう』。イベント後半では、その日の13時に正式発表したばかりの『NW-ZX500』を現行モデルNW-ZX300のオーナー様に体験していただきました。最新モデルは、オーナー様の耳をうならすことはできたのでしょうか!?
※イベント前半の様子は、こちらからご覧ください
ウォークマン
ファンミーティングレポート PART I
開発者×AVライター クロストーク
AVライター鳥居さんは、このイベントに先駆け『NW-ZX500』を体験。その感想を次のように語ります。
鳥居さん:「『NW-ZX500』の情報を聞いたとき、まず気になったのが音楽再生専用の独自OSから汎用OSであるAndroidに戻したこと。音楽ストリーミングサービスが人気であることを考えると、この判断自体は間違っていません。ただ、以前、音質追求のために『NW-ZX100』で独自OSに切り換えた経緯を考えると、ここでまたAndroidに戻すことには心配がありました。皆さんもきっとそうですよね。でも、それについてはご安心くださいと言っておきます。いやむしろ、音質のグレードが上がっています。褒めすぎに聞こえるでしょうが、そこは実際にご自分の耳で確かめてみてください」
鳥居さん:特に鳥居さんが音質面で感心したのはその音のダイナミズムだそうです。「価格帯的に『NW-ZX300』では難しかったであろう、低音の勢いや、音の瞬発力などが、『NW-ZX500』では劇的に改善されています」
松崎:「Androidを載せるにあたり、ハードウェアはすべて刷新しています。また、Android自体は『NW-ZX1』『NW-ZX2』と2世代にわたり経験していましたから、解決の糸口も見えていました。評価いただいたように、Androidに変わったからと言って音質の劣化はなく、それ以上の音質になっていると断言できます」
もちろん『NW-ZX100』『NW-ZX300』(非Android世代モデル)のノウハウもしっかりと継承。新たに増えたWi-Fi、GPSのアンテナの配置にはこれらの開発で培った技術が活用されているとのことでした。
なお、Android採用において最も懸念されるデジタルノイズの増加対策に最も大きく寄与しているのは、デジタル回路を囲う銅切削ブロック。最大のノイズ源となるCPU、メインメモリー、フラッシュメモリー、電源ICを囲い、さらにグラウンドとしても機能させることで、高音質化、特に低音の増強に成功したそうです。この工夫は先代モデルでも行われていましたが、『NW-ZX500』では従来の折り曲げ加工から「切削加工」に変更。より精密に形状をコントロールできるため銅の体積・重量を大きくでき、その効果を最大限に引き出せるようにしたとのこと。
さらに『NW-ZX500』では、ウォークマンの枠を越え、ソニーのハイエンドオーディオの技術を活用。昨年発売され話題となったハイエンドモデル『DMP-Z1』のために開発された高分子コンデンサを搭載することで、バランス出力の音質を大きく高めたそうです。
松崎:「このコンデンサはS-Masterとの相性が抜群。中高域の再現力が大きく高まりました。もちろんシングルエンド(アンバランス)接続についてもコンデンサの設計を一新しました。『NW-ZX300』ではサイズの制限もあって下位のAシリーズと同じものを採用していたのですが、今回はメカ側の筐体を削って空間を作り、約2.5倍の容量のコンデンサを搭載しています。これによって低音だけでなく、中高域の音質も向上しています」
佐藤:「ほか、同じく『DMP-Z1』で採用された金入りのはんだをZX500でも採用。ソニーは長らくはんだの高音質化に取り組んでいますが、その最新の成果を取り入れています。バッテリーやヘッドホン出力など、重要なところに使っているんですよ」
ステージではその後もデザインやユーザビリティなど、さまざまなこだわりを披露。鳥居さんがZXシリーズの美点として挙げた、全方位的な高機能が『NW-ZX500』でより高次元に進化したことをアピールしました。
たっぷりと語り尽くした、クロストークを経て、イベントは第二部:スペシャルワークショップへ。イベント参加者には1台ずつ『NW-ZX500』が渡され、さまざまな音源を、自由に試聴してもらいました。
愛用のウォークマンZX300との聞き比べのほか、複数のヘッドホンでの聞こえの違いをチェック。賑やかだった第一部から一転、静かで真剣なひとときとなりました。
以下は、試聴後に記載していただいたアンケート結果をまとめたもの。スペシャルワークショップに参加したウォークマンファンの皆さんが、『NW-ZX500』をどのように評価したのかをご覧ください。
『NW-ZX500』を実際に『NW-ZX300』(Android非搭載)と比べていただいた結果、すべての点で優れた音質であるという結果になりました。とりわけコンデンサの大容量化による低音域の音質とダイナミック感の向上は高い評価をいただいています。
Android搭載によるストリーミングサービス対応や、より持ちやすくなったボディ形状など、『NW-ZX300』からの進化点について多くのご意見をいただきました。やはり皆さん、次世代の使い勝手に強い興味をお持ちのようです。とりわけ、注目度の高かったストリーミングサービス対応については次の項目もご覧ください。
今回は会場のWi-Fiを利用してSpotifyで音質をご確認いただきました。ストリーミングサービスはその性質上、ハイレゾ音源などと比べてどうしても音質面に制約があるのですが、これまで多くの高音質ソースを体験してきたファンの皆さんも、『NW-ZX500』で再生するストリーミングサービスの高音質化に驚かれていました。
スペシャルワークショップでは、開発の2名が、それぞれの机を回り、試聴を終えたファンの方々と意見交換する一幕も。ステージと客席ではない、近い距離だからこその会話はまさに「ファンミーティング」でした。
そして、そうこうしているうちにイベントの終了時刻が到来。双方、まだまだ話し足りないようすではありましたが、佐藤、松崎の最後の挨拶でイベントが締めくくられました。
佐藤:「今日はお忙しい中、本当にありがとうございました。『NW-ZX500』については、Android搭載で音が悪くなったのではないかと心配された方が多かったと思うのですが、松崎が頑張って、むしろ『NW-ZX300』よりも良い音になっていることがわかっていただけたはずです。ストリーミングサービスなんて使わない、使ったことがないという方にこそ、本製品を試していただきたいですね」
松崎:「音質面ではマイナスになりがちなAndroidの搭載ですが、実はそれ以外の点ではお客さまにとって良いことがたくさんあるなと思っています。ストリーミングサービスへの対応は第一のメリットですが、それ以外にもUIがサクサクになったり、時計が復活したり(笑)、いろいろな機能が追加されています。ぜひ、ソニーストアなど実機が触れる場所で、手に取って実感していただければと思います」
こうして無事閉会した、ウォークマン オーナー様限定のファンミーティング『これからのウォークマンの話をしよう』。最後にステージに立った開発者の2人にイベントを終えた感想を聞きました。ファンとの交流で何か得るものはあったのでしょうか?
--まずはイベントを終えた感想を聞かせてください。
佐藤:平日の昼間にこれだけの方々に集まっていただき、改めて「ウォークマン」という製品が皆さんから愛されているのだなということを確認できました。
こんなことを言うと怒られるかもしれませんが、ウォークマンって、普段の暮らしの役に立つものではないですよね? しかもけっこう高い(笑)。でも、私はそういう役に立たないけど、楽しいものがあるからこそ人生が豊かになると思っています。
今、そういうウォークマンを創る側にいられるというのはとてもうれしいことです。私の会社員としてのキャリアも終盤にさしかかっていますが、できればこのままずっとウォークマンをやっていきたいですね。そう思わせてくれるイベントでした。
松崎:私は、佐藤と異なり、こうしたイベントにはあまり出たことがなく、出たとしてもソニー以外の主催イベントばかりだったのですが、今回、ソニーストアのイベントでオーナーの皆さんとお会いして直接お話しできたのは良い経験になりました。
特に今回は、オーナーの皆さんがどういう音の聴き方をしているのかを見られたのがおもしろかったです。正直、皆さんの熱量の高さに圧倒されました。さまざまなヘッドホンを試したり、リケーブルしたり、ポタアンを追加したり……、開発者の自分よりも音を聴くということに神経を使っていますよね。作り手としてとても刺激を受けました。
佐藤:ソニーストアのイベントは、他のイベントと事なり、参加者の熱量が圧倒的に違うんですよ。「その場で買える」ということが起因しているんだと思うんですが、その場で製品を買えないイベントなどと比べて、試聴時の真剣度が違います(笑)。そんな真剣なみなさんの感想をダイレクトに聞かせていただけるのは、我々にとってすごく価値があります。
また、今回の試聴を経て、イベント中に『NW-ZX500』を予約してくださった方がいたのはやっぱりうれしかったです。
--今回のファンミーティングのタイトルは『これからのウォークマンの話をしよう』でしたが、『NW-ZX500』のさらに先、もっと未来のウォークマンはどうなっていくのでしょうか?
佐藤:オーディオ機器はウォークマンに限らず、大きなコンデンサーや重いパーツを使っていることを売りにしがちですが、本音を言えば、別に重くしたくて重くしているわけではないんですよね。そうしないと低音が出ないから重くせざるを得ないだけで。なので、いつか、それをひっくり返したいと思っています。軽くて低音がしっかり出るウォークマンを生み出したいですね。
……ただ、現状、全く手がかりがありません(笑)。でも、重いことが良いとは思っていないということはお伝えしておきたいです。
松崎:これからのウォークマンがさらに高音質になっていくのは、もはや言うまでもないことですが、私はその上で、いつでもどこでも快適に音楽を楽しめる「ストレスフリー」であることをウォークマンで追求していきたいと考えています。ネットへの接続が面倒とか、ストリーミングサービスに加入するのが面倒とか、あらゆる面倒をなくしていきたい。聴きたい音楽を3アクション以内に聴けることを目指しています。使い始めたら、快適すぎて止められない、そんなウォークマンを作りたいですね。私がやります! ご期待ください!!
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