商品情報・ストアヘッドホン The Headphones Park 開発者インタビュー WH-1000XM3 開発者インタビュー PART2

Engineer’s Interview WH-1000XM3 開発者インタビュー

ソニービデオ&サウンドプロダクツ株式会社
V&S事業部 商品設計部門
機構設計部 3課
東海林要氏

――装着性も大きく改良されたのことですが、具体的にはどういったことをされたんですか?

東海林  装着性に関しては、ほぼすべての点で見直しを行いました。イヤーパッドの素材の変更、軽量化、イヤーカップ内の構造改善。大きくこの3つが装着改善に寄与しています。長時間装着していても快適に過ごすことができる、という点が今回の大きな進化点となっています。
まずイヤーパッドについては、中の素材として従来よりも柔らかい低反撥ウレタンを採用しています。低反発枕のようにゆっくりと耳周りの形状になじんでいくので、装着した際により側頭部への追従がしやすくなり、接地面積を前モデル比で約20%増やすことができました。その結果側頭部への圧力が分散され、装着時の負担を軽減しています。
イヤーパッドの外側の素材には、前モデルと同様に吸放湿性に優れた合皮を使っていて蒸れにくくなっています。

数多くの試作を重ねたイヤーパッド

このイヤーパッドを作り上げるだけでも100パターン近くデモを作り、実際に試しながら、どれが頭部への負担が少ないのかを丁寧に検証していきました。そして、外径や内径、高さを見直し、デザイン、音響的にも最適なイヤーパッドを採用しました。その結果、長時間装着していても快適なヘッドホンにすることができました。

――WH-1000XM3は前モデルと比較して、軽量化を図ることができています。これはどのようにして実現しているのですか?

東海林  全体で約20gの軽量化を実現できたのですが、どこか一部分だけを軽くしたというよりは、バンドの幅を細くしたり、ハウジングを少し薄くしたりなど、全体的に軽量化を行いました。ただし、きゃしゃに見えないようにデザイナーと相談しながら工夫をしました。 一番の目的は、装着性の改善でしたので、ヘッドバンドの重さ、ハウジングの重さ、重心の位置など、全体のバランスを考慮して開発しました。

つけたときの圧迫感が軽減されるように工夫を凝らしたヘッドホン

――イヤーカップ構造も変更されているように感じますが、どういった意図があるのでしょうか?

東海林  MDR-Z1RやMDR-1AM2でも採用している、ドライバーユニットを傾けて、耳に添わせる構造をとっています。これによるメリットは、耳全体の角度に内部構造を合わせやすくなることです。結果として耳の周りの空間を広くとることができ、圧迫感を感じにくく、つけていることを忘れられるような体験ができます。

――先ほど、ヘッドバンドの幅を調整したという話がありましたが、デザイン的には、どのように変わっているのですか?

東海林  装着した際にヘッドホンが頭に寄り添う、ということをWH-1000XM3ではコンセプトにしています。今までのモデルは、装着時に頭とヘッドバンドの間に隙間ができてしまうという点がありました。今回はそこに注目して、なるべくヘッドバンドと頭を添わせるようなスタイリッシュな形状を作るために、ヘッドバンドのカーブを変更しています。WH-1000XM3は、少し立てたようなカーブを採用しました。

ソニー株式会社 ブランドデザインプラットフォーム
クリエイティブセンター スタジオ2
隅井徹氏

――一方で、WH-1000XM3全体のデザインはどんなコンセプトで進めていったのですか?

隅井  初代で作ったベースをどうやって持ち上げていくかということを中心に、ガラっと変えるのではなく、どう洗練させたデザインにしていくかを考えました。完全なエボリューションですね。
もともとジェットセッターと呼ばれる、ビジネスクラスで世界を行ったり来たりするリッチな人の思考を、基本的なコンセプトとして初代のモデルは作っていたんです。今回は、そういう人たちが物のディテールや思考、考え方に対してどう魅力を感じるかを深堀りしました。スーツケースを持ってスーツを着てというよりも、ラグジュアリーだけどモダンにデザインを施された世界観、いわゆるセレブが旅行するときのモノを意識しています。

商品のコンテクスト、グローバルトレンドから導いた金属調のアクセントを象徴的にロゴとノイズキャンセリングマイク部のリングに施した

もう1つ、セレニティという部分を意識していまして、色のトーンを落としたりすることにより、ノイズキャンセリングによる静けさを視覚的にも感じられるようなデザインを目指しました。これも、全体が落ち着きすぎてしまうと、目立たなくなりすぎてしまうので、その点に苦労しました。ノイズキャンセリングをより強調するため、マイク部分に金属調のリングを入れて、視覚的な静けさの中に強調する部分があるというコントラストを持たせました。それから、オーガナイズ的な考え方も取り込んでいます。コンパクトに見えるか、コンパクトにできるかを意識して取り組みました。

前モデルから表の素材やジッパー、コンパートメントの使い勝手をよりよくしたデザインへアップデート

――ケースについてもお伺いできますでしょうか。

隅井  ケースについても、どれだけコンパクトにできるかにすごく苦労しました。折りたたみ具合は、今までのモデルと同じですが、一つのケースの中にケーブル類が全部入るようになっています。ヘッドホン本体との世界感を合わせるために合皮はやめて、ファブリックにこだわりました。よくある付属品ではなく、ケースも含めて、箱を開けた瞬間の満足感は作れたと思います。

――最後にユーザーの方へ向けて一言お願いします

新開 WH-1000XM3は、ノイズキャンセリング性能と装着性に重点を置いて開発をしました。是非毎日の通勤や出張のときになどに、肌身離さず使っていただければ嬉しいです。

柏木 「高音質ノイズキャンセリングプロセッサーQN1」はノイズキャンセリング性能、音質ともに良いデバイスに仕上がっているので、「高音質ノイズキャンセリングプロセッサーQN1」が作り出す静寂の中で音楽に浸っていただければと思います。

東海林 装着性とノイズキャンセリング性能と音のすべてにこだわった製品になっています。一度手に取っていただければ、その進化感がよく分かると思います。是非実際に着けて聴いていただけたらと思います。

八重樫 機能や装着性の向上はもちろん、様々なシーンに溶け込みつつさりげなくアピールできるデザインとなっています。是非お手に取って試して頂きたいです。

−−ありがとうございました。

取材:藤本健

商品情報

WH-1000XM3

ノイキャン性能の新たな到達点。研ぎ澄まされた高音質に浸る

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