司会 他にも個々のレンズについて、ユーザーの皆さまから、ご意見や、あるいは日ごろからのご感想などありますでしょうか。
田中さん もうちょっと長めなレンズがあればいいんですけど。カーレースを撮りにサーキットに行くと、300mmだとちょっと届きません。400mmクラスがサーキットだと非常に使いやすいので、出していただきたいところです。500mm F8 Reflex も持っていますが、それだと届きすぎちゃうし、被写体の動きが速いから、F8だと遅い。400mmクラスのF4とかF4.5で、SSMを積んだレンズ。ユーザーは大勢いないかもしれないけど、僕の食いつきはいいかな(笑)。αはデザインが良いし、愛着があるので、ずっと使っていきたいから。
末吉 実は、私もレースの写真を撮るのが昔から好きです。おっしゃる通りで、35mm換算で600mmクラスは必要だと思うので、個人的にはぜひ作ってみたいと思っています。
田中さん 超望遠のズームは出さないんですか?
末吉 もちろん作ろうと思えばできるのですが、 300mm F2.8G もそうですけど、超望遠というと、各社が画質を極限まで追求するし、お客様の期待値も高いんです。そのレベルをズームレンズに要求されるのは現実的にはつらい。しかし、ご要望をたくさん出していただければチャレンジいたします(笑)。
永井 ボディは常に速いスピードで進化していきます。それに対して、ガラスの集合体であるレンズはアナログ的なファクターが多い製品で、もともと設計して完成するまでの時間がある程度かかります。ボディが進化して代替わりしてもレンズは長い年月使っていただきたい、そういう気持ちで設計しているので、どうしても性能は落とせません。そのためさらに、レンズは世に出るまで時間がかかってしまうのです。
藤原さん 先日、500mm F8 Reflex を買ったんです。梅の花を逆光で撮ってリングボケを出してやろうと思って。このレンズ、売れてます?
司会 ご好評をいただいています。
田中さん 値段的にはとっつきやすいですよね。500mmでこの金額は。普通のカバンに入っちゃうサイズだし。
藤原さん ただやっぱりピントはシビア。
末吉 反射望遠レンズは、作るのも、とても難しいのです。透過で使うものに対して、反射で使うものは、一般的に4倍くらいの精度が必要になります。小さいから、材料が低コストなので価格は抑えることができているのですが・・・。
田中さん このレンズを使うと、ボディ内蔵の手ブレ補正の良さが本当にわかる。手ブレ補正がないと撮れないですよね。
末吉 500mm F8 Reflex のようなレンズでも手ブレ補正が使えるのは、αならではの強みです。私は個人的に 35mm F1.4 G を“α700”につけて使うことが多いのですが、F1.4で手ブレ補正が使えるということと、“α700”の高感度の画質がよくなったということの相乗効果で、暗い場所にとても強い。新しい Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM にしても、このクラスで手ブレ補正が使えるのがαのいいところです。
司会 “αレンズ”の特長のひとつに、理想的なボケというのがあります。ボケを徹底的に追求したレンズもありますが、これについては皆さんどのようにお感じでしょうか。
坂井さん 135mm F2.8[T4.5]STF は、APS-Cだと、花を撮るとき、焦点距離がちょっと長すぎるかも知れないので、85か70mmくらいで出るとありがたいんですが・・・。
末吉 光学的には、135mmより焦点距離を短くしてSTFの味を出すのはけっこう難しいんです。APS-C専用ならば可能になってくると思います。
坂井さん できればAFをつけて欲しい。
末吉 そのお声もよくいただきます。ビネッティング(口径食)をなくすためには、85mmでやろうとすると、2.8で1.4並みの大きさが必要になるかもしれません。そうなるとユーザーの皆さんに受け入れていただけるかどうかということもあります。
司会 マクロレンズにも大変に良い評判をいただいています。
中井さん 50mm F2.8 Macro のほうは、ふだん使いのレンズで、フラっと出かけるときにつけていくと、なかなか良いですね。ソニーになってから、フォーカスリングの感触が良くなってうれしい。
藤原さん 50mm F2.8 Macro は良いレンズですよ。
坂井さん 100mm F2.8 MacroはAPSで150mm相当になるので山に持っていく僕にはちょっと使いづらいかな。
中井さん 今日は、“α200” に 35mm F1.4G をつけてきたんですけど、“α200”に似合う、もうちょっとコンパクトな35mmぐらいのレンズが低価格で欲しいですね。35mm判換算50mmくらいで気軽に出かけたい。35mm F1.4G だとちょっと重くなっちゃうのと、値段的に人に気軽に進められない。自分自身、かつて50mm F1.7でレンズの世界に「転んだ」ので、人を転ばせるようなレンズが欲しい気がします。
司会 確かに「次に気軽に買えるレンズ」というご要望はよくいただきます。例えば、35mmのF2のようなレンズですよね?
中井さん そうですね。Sonnar T* 135mm F1.8 ZA とかはすごく好きなんですけど、昨日デジタル一眼レフ始めました、っていう人には薦めにくい。まず、いったいボディの何倍の値段なの!? って言われますから(笑)。
坂井さん コストパフォーマンスということで言えば、 DT 18-70mm F3.5-5.6 が非常に良いですよね。キット込みの場合だと1万円くらい。このクラスだと大抵55mmまでしかないのに70まであるから望遠が多少効くし。僕はいいと思います。高倍率が便利なので、次に、DT 16-105mm F3.5-5.6 を買おうかどうか迷ってはいるのですが。
中井さん たぶんよく言われると思うんですけど、広角側のレンズでもう少しラインアップを充実させてほしい。単焦点だと 20mm F2.8、28mm F2.8 、ズームで DT 11-18mm F4.5-5.6 くらい。もう少し広角の単焦点のものを出してほしい。
司会 APS-Cで使った時に20mm相当の単焦点レンズ、ということですよね。
中井さん そうですね。
坂井さん 28mm F2.8 のようなレンズは、実質的には20年くらい変わっていないのではないでしょうか?
末吉 基本的な設計は変わっていません。というのも、28mm単焦点のようなレンズは、基本的な構造というのは変えようがないぐらい、完成されているからです。50mm F1.4 などもそうです。どのメーカーでも、50m F1.4 だと、フィルム時代、AF以前のものがベースになっているはずです。強いて言えば、最近は屈折率が高いガラスがかなり使えるようになってきたので、もし今後新たに新規で製品化させてもらえるチャンスがあればその時は楽しみにしておいてください。