- 基本性能である音質については、どのような進化があるのか?
またどのような評価を行って音づくりをしてきたのか? -
- 三代の発言
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三代 新しいUWP に対しては、「高音質化」に対する期待が大きかったので、まず目標とする音質としては放送局でスタンダードモデルとなっているECM-77 を目指すところから始めました。もちろん、市場からの要望事項でもある「小型化」と「価格帯の維持」を実現しつつ、その中で音質向上を目指して設計を進めて行ったわけです。そこで、音質を向上させるために
- 筐体とカプセルケースの一体構造による音響的グランドの強化(高剛性化)
- 音の「締り」「明瞭感」「スピード感」を出し、人の声を自然な形で再現できる中域の存在感を出すことを目的に、数種の候補の中から選択した金(Au)を蒸着した新規振動膜の採用
- 小口径かつ高感度低雑音化をはかるため、ECM-77 同様に十分な背室容積の確保
- マイク内部の前面に金属メッシュを採用して、高域の自然な伸びを得るともに、マイク風防のウインドスクリーンと2 重構造にすることで、風、雑音ポップノイズを低減
の4点について徹底的に取り組みました。その結果、音質を重視した構造を盛り込みつつ、UWP-C1に付属していたラベリアマイクと比較し、圧倒的な小型化を実現すると共に、UWP-C1で不足していた耐久性についても、金属筐体にすることで改善に繋げることができました。
- 神田の発言
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神田 音を決めるのは、音の入り口となるマイクカプセルが重要となります。そのため、UWP-V1のラベリアマイクを含めて、ワイヤレスマイクのカプセルは全て有線で評価しています。今回の評価においては、男性と女性の各音質について、ターゲットとなるECM-77やUWP-C1のラベリアマイクなどと比較しながら、人の声を自然に再現できる中域を目指し数種のサンプル品の評価を繰りかえしながら、構造や、振動板材質、金属メッシュなどの仕様を決めていきました。
並行して、ワイヤレスシステムでも評価を行いました。ワイヤレスシステムではUWP-V1とC1の比較、最終的には、放送局でも使用される上位システムのWRT-850、WRR-860C とも比較して、使用用途を考慮しつつ遜色ないレベルの音質に仕上げました。
- 神田の発言
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神保 UWP-V1のラベリアマイクについては、ソニー・太陽で生産を行っています。ソニー・太陽はソニー圏で唯一業務用マイクのカプセルから本体まで製造できる会社で、コンデンサーマイクC-800G/9XやC-38B の生産も行っています。マイクカプセルについては小型で作業難易度も高いため熟練作業者が1名で評価し、そして最後まで作り上げます。ECM-77やECM-88 などの最小径ラベリアマイクの製造も手がける作業者であり、それが今日の性能安定にも繋がっているのです。