- 伝送部分についての、新たな「進化」や「こだわり」などはあるのか?
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- 新谷の発言
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新谷 ソニーのポリシーでもあります「安定した伝送系」「多チャンネル同時運用」については、UWP-V1においても継承されています。最近のワイヤレスマイクの環境としては、アナログ・デジタルの混在や、不要電波も多くなっていますので、混信による妨害に関しては、以前にも増して注意を払いチューニングを行いました。また、「UWP シリーズ」の受信機は小型カムコーダーへ取り付けることが多いので、スペースダイバーシティー用に2 本装備したアンテナは、自由に角度を調節できる機能や受信効率は そのままに、旧型のものに比べ一回り細い径にして、より取り扱いやすいものにしました。
- 具体的にスペースダイバーシティー受信方式のメリットはどこにあるのか?
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- 深澤の発言
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深澤 放送取材においては、「音を途切れさせてはいけない」ということが大原則であり、安定伝送は、ワイヤレスマイクの基本と言える重要な要素となります。それは、たとえ比較的低価格な「UWP シリーズ」であっても変わりありません。そのため、ソニーは、トゥルーダイバーシティー受信方式*を、全ての受信機で採用しています。トゥルーダイバーシティー受信方式とは、対称な2 系統の受信復調回路を持ち、どちらか電波の受信状態のよい回路を、常に選択して安定した受信状態を保つ方式です。つまり、あたかも2台の受信機で1チャンネル分の電波を拾って「いいとこどり」する方式です。
電波は、建物の壁で反射したり、電波同士が干渉したりしますが、その状態は送信機の移動で変化しますし、わずかに離れた2 本のアンテナでも状態が異なります。そのため、 2 系統の受信復調回路を持ち「いいとこどり」する方式は、電波の反射や干渉によるドロップアウトを避けるうえで、必須の機能と言えます。一方、2 系統の受信復調回路を持つことは、回路規模が2 倍になるということですから、サイズも大きくなり、コストアップにもなります。しかし、そこはソニーの得意な超高密度実装技術と小型機構設計のこだわりで克服し、小型化を実現しました。
- 取材などのシーンにおいては送受信機が複数台使用されることになるが、
多チャンネル運用時での安定性(安全性)を確保するための工夫・技術は何か? -
- 深澤の発言
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深澤 取材現場では、狭い空間で複数の取材クルーによって多くのワイヤレスが混在使用されます。そのため、ソニーは、現場で多チャンネル運用が出来ることを前提に、実際にそのよ うな環境を想定した独自の運用実験と、十分な検証を行ない、ソニー独自のチャンネルプランを複数用意しています。また送信出力は、2mWと10mW に切り換えが可能です。これは、狭い範囲での多チャンネル運用時には、2mW で干渉を避け、飛びを優先する場合は10mWと、フレキシブルな運用が出来る工夫をしています。さらに、取材現場で干渉が発生した場合でも、素早く空きチャンネルが探せるように、受信機には、新たに「オートチャンネルスキャン機能」を搭載しました。この機能を使うことにより自動で取材現場の電波環境をチェックし、迅速に空きチャンネルを探し出すことが出来るようになりました。このように、現場での安全運用を提供するさまざまな工夫を盛り込んだUWP-V1は、さまざまな取材現場において安心してお使いいただけます。
*トゥルーダイバーシティー受信方式に似た、アンテナを2 本装備した受信機でも、アンテナダイバーシティー受信方式もあります。アンテナダイバーシティー受信方式は、実は受信回路は1つしかなく電波のレベルが低くなると、他方のアンテナからの電波に切り換える方式で、予測で切り換えているため、電波の反射や干渉によるドロップアウトを確実に避けることは出来ません