コンセプトは、「写真を大量に持ち歩く」

小寺 「新しいサイバーショットDSC-G1（以下G1）なんですけれども、コンセプトが今までにないスタイルなんですよ。内部にメモリーをたくさん積んで、これまで撮った写真を持ち運んでしまおうという。撮る機能はもちろんあるんだけれども、いっぱい貯めて持っておこうというコンセプトは、これまでデジタルスチルカメラにはなかった」

帆足 「そうですね。価格競争しかりスペック競争しかり、これまでカメラ本体の競争がずっと続いてきたわけですけれども、いよいよコンセプト提案競争に入っていくという感じで、面白いなと思います」

小寺 「なるほど。基本的に写真、動画もそうなんですけれども、思い出は最終的に脳に記憶しなきゃいけないものだと思うんです。それを一時的に写真や動画に撮っている。でも大抵の人は写真を撮ったらそれで終わっちゃうじゃないですか。でもこうやって撮った写真、それこそG1で新しく撮った写真に限らず、昔の写真もG1に入れて持ち歩くということになれば、もう一度反すうして記憶に刻み直す。いつでも思い出を噛みしめることができますよね」

帆足 「そうですね。写真を撮る時は、いい写真を撮ることに必死で終わってしまう。それをあとでゆっくり見返すことで、その時の記憶がより倍増してくるというか、思い出が蘇ってくる。そういうことはあると思います。G1で、写真を見て楽しむということが、あらためて皆さんに認知されるような気がしますよね。デジタル化によって編集するのが簡単になったとか、気軽に撮れるようになったとか、いい点はいっぱいあるんですけれども、じっくりプリントを見るということが減ってしまった。でもG1を持つことで、カメラの面白さ、写真の面白さにあらためて戻るように思います」

小寺 「デザインはどうですか？　パッと見ると、後ろが全部液晶ですよね。携帯テレビみたい。一瞬カメラに見えないじゃないですか。でも本体を横にスライドさせると、とたんにアスペクトが変わって、前からみると非常にカメラっぽくなる。広げたところにステレオマイクがありますし、非常によく考えていると思うんです。写真や動画を撮る以外に、マイクって外に出ていてもしょうがない。だったらそこも一緒にしまっておこうと。さらに広げたサイドのスペースにボタンを配置する。こういうところは非常に面白いですよ」

帆足 「よく考えられてデザインされていますよね。ソニーならではのデザインだと思います」