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ブルーレイディスクの信号記録には、17PP(Parity Preserve/Prohibit RMTR)変調という方式が使われています。この方式は、CDで用いられているEFM変調(Eight to Fourteen Modulation = 8bitのデータを14bitのデータに変換する)方式に比べ、小さな単位でデータをパッキングすることができ、変調効率が高いのが特長。変調というのは再生した際の信号帯域を制御するための記録方法です。SN比が制御されるとともに、クロック再生をも容易にします。17PP変調を行うことにより、従来のCDなどに比べ検出窓幅が大きくなり、検出能力が向上します。また1,7RLLと比較した場合、低域信号成分が少なくなりSN比が改善されます。将来、グルーブのないエンボスピットで記録した際、トラッキングサーボエラーへの影響を抑えることができます。その結果としてドライブのエラーレートを下げています。また、Parity PreserveというのはDCコントロールの方法のことで、17PPは、変調前後のParityが同じであるため、変調前にDCコントロールを行うことができるという平易なDCコントロールを可能にしています。図6は、従来からの1,7RLL変調と今回の17PP変調を比較したものですが、1,7RLL変調に比べ17PP変調は低域が改善されていることがわかります。このように17PP変調は、低域が改善されるとともに、変調前のParityは保たれ、code rate、d limitation、k limitationといった要素も従来からの1,7RLL変調と同等に保たれて います。さらに、Prohibit RMTR(Repeated Minimum Transition Runlength)は、高密度信号再生処理方法であるPRML再生を念頭に置き、PRML再生に影響を与えないように連続する2T(最短マーク長)の数を6回までに制限する手法を用いることで、データ検出能力も向上させています。
図6.従来からの1,7RLL変調に比べ17PP変調低域特性が改善
誤り訂正方式には、記録密度の高さと、高開口数のレンズおよび薄型保護層というブルーレイディスクの特徴を考慮。LDC-ECCおよびBISという2種類の誤り訂正方式を採用し、64kBという大きな訂正符号ブロックとし、インターリーブ長(符号の分散長)を大きくすることによりランダムエラー、バーストエラーに対しても読み取り時の信号再現性を高めています。
ディスクアドレス方式は、DVD-Videoや、DVD-RW/+RWなどと同じグルーブ・ウォブリング方式を採用しています。これはグルーブ(溝)に信号を記録し、アドレッシング(ディスク上の位置)はグルーブのウォブル(蛇行)で検出する方法です。DVDで培われた実績のある方式を用いることにより記録前のディスクでも、記録後のディスクでも安定したアドレス読み取り性能を実現しています。
◎Parity(パリティ)
「同等」「等価」という意味の名詞。コンピューター用語としては、送受信したデジタルデータが、送り側と受けた側で間違いなく同一内容かを確認する仕組みの一種として、「パリティチェック(Parity check)」という技法が普及しています。また実際にこの用途に使われる1ビットのメモリー領域のことを「パリティビット(Parity bit)」と呼びます。
◎DCコントロール
どのような映像・音声でも、ディスクに書き込むデータの1と0が同数だけ表れるように制御すること。
◎1,7RLL
(Run Length Limited code)変調
ハードディスクなどに、高密度に情報を記録するために、連続する0が一定数以下になるように符号化する磁気記録変調方式です。RLL(x,y)と表記した場合、1と1の間に出現する0が最小x個、最大y個であることを意味します。変換表に従い、データをコード化します。検出窓幅はビット列の位置を検出するための窓の幅で、大きいほど復調が容易であることを示します。
◎PRML
Partial Response Maxmum Likelihoodの略称。再生信号処理の一種です。ピックアップで読み取った再生信号には様ざまなノイズやひずみが含まれており、この信号から的確にデータを読み取るための技術で、PRおよびMLという2つの技術から成り立っています。PRとは、再生信号が直前の信号の影響を受ける(符号間干渉)というメディア特性を考慮してもとの波形を再生する技術、MLとは最尤(さいゆう)復号のことで、記録信号の特徴に基づき、再生信号から最も確からしい(確率の高い)データを読み取る技術です。
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