“美しさ”と“速さ”でゲーミングモニターの常識を更新する
『INZONE M9』/『INZONE M3』
“美しさ”と“速さ”で
ゲーミングモニターの常識を更新する
『INZONE M9』
『INZONE M3』
2022年7月、ソニーがゲーミングギア市場に参入します。その名は「INZONE(インゾーン)」。本気でゲームに取り組むコアプレイヤーのための新たなブランドです。まず手がけるのはゲーミングモニターとゲーミングヘッドセット。そこにソニーのテクノロジーがどのように生かされているのか、ゲーミングモニター『INZONE M9』と『INZONE M3』を手がけ、自らもコアゲーマーだと自認するエンジニアたちに開発秘話を聞きました。
田中:eスポーツの世界的盛り上がりなど、ゲーム文化がワールドワイドで認知され、これまで以上に多くの人が楽しむようになってきた中、GPUの高性能化などといった技術の進歩に伴い、ゲームのグラフィックスがどんどん向上してきています。これを受け、クリエイターたちがこれまで以上に映像表現に力を入れるようになってきました。
田中:そうなんです。そこにこれまで我々が培ってきたブラビアの高画質化技術や、プロフェッショナル向けマスターモニターの色再現技術などが活かせるのではないかと考えました。ゲームの世界により没入できるようにしたり、プレイヤーのパフォーマンスを向上させるなど、ソニーがゲーム体験を豊かにすることができるのではないか、と。なによりもそれがゲーミングギアを発売する理由となります。
田中:一流のアスリートが極限の集中状態に入りパフォーマンスを発揮することを「ゾーンに入る(in the zone)」と言います。「INZONE」とは、まさにそこから着想を得た言葉で、ゲームがスポーツのように自己表現の場として認識されるようになっている中、よりゲームに集中できるようにする手助けをしたいという想いを込めました。
田中:PCゲームやPlayStation®5などを週に10時間以上プレイするコアプレイヤーと呼ばれる方々のためのブランドになっております。プレイするゲームのジャンルについては、競技性の高いFPSゲーム(First-Person Shooter/一人称視点シューティングゲーム)やTPSゲーム(Third-Person Shooter/三人称視点シューティングゲーム)、ゲーム世界を美しい映像で満喫できるオープンワールドゲームを想定しており、今回発表したラインアップもそれに準じたものになっています。
田中:人気のシューティングゲームやオープンワールドゲームをプレイする際に、ソニーの持つ技術力を生かせるものは何かを突き詰めて検討していった結果、今回はまず、ゲーミングモニターとゲーミングヘッドセットの2種類を用意することになりました。それぞれ複数の製品をラインアップしており、プレイするゲームに合わせて最適なものを選んでいただけるようにしています。
古字:通常のPC用モニターとゲーミングモニターの最大の違いは対応するリフレッシュレート(1秒間あたりの画面の書き換え回数)です。リフレッシュレートが高い方が映像の動きがなめらかになりますし、入力遅延も小さくなります。低入力遅延は操作する上での一体感を高めてくれるため、特に競技性の高いゲームで重要ですが、ゲームへの没入感を高める効果も大きく、多くのゲームに有効です。今回、特にこの点を重視したFull HD解像度の『INZONE M3』では240Hzのリフレッシュレートを実現*しています。また、4K解像度の『INZONE M9』についても高解像度でありながら144Hz*という数値を達成しました。もちろん、どちらもVRR(Variable Refresh Rate/可変リフレッシュレート)に対応しています。
* 高リフレッシュレート表示にはゲーム側の対応および、PCがそれを表示できるだけのパフォーマンスを備えていることも必要です。
古字:その通りです。そしてもう1つ、我々が重要だと考えているのがHDR(High Dynamic Range)技術で、映像本来の明暗部を再現し、より広範囲な色幅の再現を可能にするものです。HDRというと、テレビで先行して普及していることからも分かるように映画のためのものと思われがちなのですが、ゲームにこそ効くものだと考えています。実際にHDRに対応したゲームタイトルも次々と登場していますよね。そこで今回、INZONEではこのHDRに高いレベルで対応。27型のデスクトップ上のモニターとしてはこれまでなかったような、しっかりとしたコントラストとピーク輝度を出せるようにしました。
古字:先ほど、近年のゲームの映像美がものすごく高まっているという話をしましたが、通常のPCモニターの輝度表現力ではこれをきちんと再現することができません。特にゲーミングPCのあり余るパフォーマンスを駆使して現実世界を再構築するようなゲームにおいてはHDR対応が必須。HDR対応モニターでプレイすると、クリエイターが意図した映像を体験することができ、それによって没入感がさらに大きく高まるのです。
なお、競技性の高いゲームでは、物陰に隠れた敵を見逃さないために暗い部分を明るく持ち上げて表示するというテクニックがあるのですが、低コントラストのモニターでそれをやると、逆に明るいシーンが見えにくくなるということがありました。その点、INZONEのゲーミングモニターはどちらも高コントラストなので、暗いところから明るいところまでしっかり見え、大切な情報を見落としてしまうことがありません。競技性の高いゲームにおいても画質は重要なんですよ。
田中:FPSやTPSゲームのように競技性の高い、「勝利」が目的のゲームをプレイする方には、リフレッシュレートが高い『INZONE M3』がおすすめです。対して、4K解像度と優れたHDR対応を実現する『INZONE M9』は、オープンワールドゲームのような世界観に「没入」するタイプのゲームと相性が良いと考えています。
古字:もちろん輝度ピーク自体も高く設定されており、これによってHDRの表示性能レベルを示す業界標準規格「DisplayHDR 600」を満たし認証を得ています。
古字:もちろん、IPS液晶と直下型LED部分駆動を組み合わせればすぐにこの数字が出るということではありません。ソニーがブラビアやプロフェッショナル向けマスターモニターなどで培ってきたノウハウを元に、直下型LED部分駆動のパラメーターを追い込んでいったからこそ、ここまでの優れた性能を実現できたのです。『INZONE M9』は「DisplayHDR 600」対応で、さらに直下型LED部分駆動を搭載しているので、高コントラストで高い色再現性を実現しています。ぜひ店頭などで見ていただきたいですね。なお、『INZONE M3』は直下型LED部分駆動にこそ対応していないのですが、こちらも限界まで画質を詰め、このクラスの製品としてはかなり高いレベルの画質を実現しています。もちろんHDRにも対応しています(「DisplayHDR 400」取得予定)。
竹田:『INZONE M9』は色再現性にもこだわっており、デジタルシネマ向けの業界標準規格であるDCI-P3の色域を95%以上カバーしており、さらに、10.7億色の表示が可能です。また、出荷時にモニターを1つずつ個別にキャリブレーションすることで、製品ごとの個体差を抑え込み、プロクリエイター向けのディスプレイに迫る精度を実現しました。組み立てについてもブラビアの生産などで培ってきたクオリティコントロールの知見を踏まえて高精度に行っており、フレームからパネルに圧力がかかって色ムラが発生するなどといったことのないよう細心の注意を払っています。こうした点もソニーならではと言えるのではないでしょうか。
田中:個人的にはものすごくアイコニックでスタイリッシュなデザインだと思っているのですが、いかがでしょうか?
田中:実はこの脚には見た目だけでなく、機能的な狙いもあるんですよ。今回、ゲーミングモニターを開発するにあたり、実際のプレイヤーの方々がどのような環境でプレイしているのかをヒアリングしたのですが、その中にキーボードを傾けて使うという人が少なからずいらっしゃいました。FPSなどではW/A/S/Dのキーなど、キーボードの左側にあるキーを多用するのですが、キーボードを逆ハの字に置いて操作するというスタイルですね。
このスタイルではキーボードがモニターの脚にぶつかってしまいがちだったのですが、このデザインではモニター下部に大きなスペースがあるため、キーボードを大きく傾けても脚に接触することがありません。
田中:また、モニターを前脚に沿って上下に移動させることもできるので、どの位置にしても自然な姿勢で画面をのぞき込めます。もちろんこの状態からさらに前後に画面を最大20度までチルトさせることも可能です。
田中:はい。本体背面のライティングの色を変更できるようになっており、全14色(うち、1色は黒=消灯)からお好みの色を選んでいただけます。この際、ただ光らせるだけではなく、内部でLEDの光を拡散させ、全体が均一に美しく輝くようにしているのはソニーらしいこだわりと言えるかもしれませんね。白い壁際に置いていただくと、光が壁面で反射して、まるで間接照明のようにイルミネーションを楽しんでいただけます。
田中:INZONEのゲーミングモニターにはWindows10以降に対応したPCソフトウェアが用意されており、それをインストールすることでPC側から、さまざまな設定・操作をマウス操作で素早く行うことができます。プレイするPCゲームタイトル(PCアプリケーション)に応じて自動的に画質モードを切り替えるよう設定することもできます。また、同時に発売されたヘッドセットのサウンドプロファイルも同時に連動して自動的に切り替えることができます。
古字:DisplayPort 1.4端子を1系統、HDMI 2.1端子を2系統、DisplayPort Alternate Mode対応のUSB Type-C端子を1系統、さらに周辺機器接続用としてUSB Type-A端子を3系統とUSB Type-B端子を1系統搭載しています。
古字:そうですね。ゲーミングPCとはDisplayPortで接続し、HDMI端子にはPlayStation®5などのゲーム機を、USB Type-C端子はモバイルノートPCと接続するような使い方を想定しています。
また、ゲーミングモニターに接続したキーボードやマウス、ヘッドセットなどを接続したPCやゲーム機と共有し、画面を表示している機器で使えるよう自動的に切り換える「オートKVMスイッチ」という機能も搭載しています。このため、ふだんはゲーミングモニターとして使いつつ、家庭用ゲーム機で遊んだり、仕事用ノートPCのセカンドモニターとしても使っていただけます。ゲーミングモニターは速い操作応答性でゲーム用途を主に謳っていますが、INZONEのゲーミングモニターは、優れた映像表現力で映画を楽しんだり、高い接続親和性でノートPCで仕事や学習をしたりといった使い方でも充分に満足していただけるはずです。
田中:我々はゲーム業界がこれからますます拡大していくと考えています。『INZONE M9』および『INZONE M3』は、そんなゲーム業界にソニーが満を持して投入するゲーミングモニターです。ぜひ製品を見ていただいて、ソニーの本気度を感じていただければと思います。
なお、INZONEはPCゲームやPlayStation®5などのコンソールゲームのコアプレイヤーのみなさんに向けた新しいゲーミングギアのブランドです。特にPlayStation®5との連携機能に対応し、HDR効果を最適化する「オートHDRマッピング」や、表示している映像に合わせて画質を自動で調節する「コンテンツ連動画質モード」にも対応していますので、PlayStation®5をより良い環境で楽しみたいという方にもおすすめです。
古字:私は学生時代からのゲーマーで、実はソニーに入社したのも最高のゲーミングモニターを作りたかったからなんです。ところが私が入社してすぐにソニーがPCモニター事業から撤退してしまい(笑)、20年を経て、ついにそれを実現する機会を得ることができました。今回、どうしてもやりたかったのは直下型LED部分駆動を実現すること。これによって、画質面での満足度が大幅に向上すると思います。もちろんINZONEのゲーミングモニターはこれで全てというわけではありません。今後もどんどんラインアップを拡充していき、さまざまなプレイヤーのさまざまなこだわりに合わせて製品を選べるようにしていきたいですね。ソニーのINZONEブランドのゲーミングギアをご愛顧いただければと思います。
竹田:私も古字と同じく、個人的にもかなりゲームをやりこんでいる方だと思うのですが、実はそれまでモニターの重要性についてあまり深く考えていませんでした。リフレッシュレートが高ければ画質はどうでもいい、みたいな。ところが今回、INZONEの開発に携わっていく中で、画質の重要性に気付かされました。直下型LED部分駆動って本当にすごいんですよ。今回の製品ではゲーミングモニターに求められるパフォーマンスと美しい画質の両立がしっかりできたと考えています。ぜひ、より多くのプレイヤーの方にお試しいただきたいですね。そして、今後の製品開発に向け、皆さんの感想をいただきたいなと考えています。