「音からの情報」をよりリアルに、究極の集中・没入状態を目指した
ゲーミングヘッドセット
『INZONE H9』/『INZONE H7』/『INZONE H3』
「音からの情報」をよりリアルに、
究極の集中・没入状態を目指した
ゲーミングヘッドセット
『INZONE H9』
『INZONE H7』
『INZONE H3』
ソニーがこれまで培ってきた技術とノウハウを凝縮させた、“勝てる”ゲーミングギア「INZONE(インゾーン)」。その第1弾となるゲーミングヘッドセットには、周囲の音を正確に把握する立体音響技術や、ゲームへの集中を高めるノイズキャンセリング機能などが盛りこまれています。もちろん音質や装着性、デザインなどにも妥協なし。「夢のゲーミングヘッドセットを作りたい」というその想いについて、開発を牽引した主要メンバーたちが語ります。
伊勢崎:「INZONE」は、ゲームをプレイしているユーザーを究極の集中・没入状態、いわゆる「ゾーンに入った」状態に導き、パフォーマンスを向上させ、そしてゲームに勝利させるーーそうした体験を実現したいという願いを込めて立ち上げた、ソニーの新しいゲーミングブランドです。実は、開発チームは私を含めて多くのメンバーが、平日も寝不足になるほどゲームをプレイするような者ばかり。当初から夢のゲーミングヘッドセットを作りたいという強い想いがありました。ゲームを愛し、真剣にプレイしている人の多くが、シビアに勝利や結果を追い求めています。私たちは、真剣に戦ったからこそ、手強い対戦相手やモンスターに勝ったとき、あるいはスコアを更新できたときの喜びに、特別なものがあると信じています。
そのようなプレイヤーの相棒となるようなプロダクトを、「INZONE」シリーズとして作っていきたいと思っています。
伊勢崎:今回発表した『INZONE H9』を始めとするゲーミングヘッドセットには、ソニーがこれまでオーディオ事業で培ってきた技術や思想が活用されております。具体的には、広がりが良く、定位感に優れた音を再現できる360立体音響技術や、 音楽リスニング用ヘッドホンで培った、快適な装着性を実現するための機構やマテリアル、そして業界最高クラスのノイズキャンセル性能を誇るヘッドホン「1000X」シリーズから受け継いだデュアルノイズセンサーテクノロジーなどです。これらの技術は、ゲーミングというシーンにおいても非常に有用で、プレイヤーの没入・集中体験に貢献できると考えています。
伊勢崎:ゲーム市場の成長とともにゲーミングヘッドセット市場も年々広がりを見せており、特に最近はワイヤレスタイプのヘッドセットが人気です。今回、ゲーミングヘッドセットを開発するにあたって、改めてさまざまなゲームプレイヤーから意見を聞いたのですが、世界的に人気のジャンルであるFPSゲーム(First-Person Shooter/一人称視点シューティングゲーム)やTPSゲーム(Third-Person Shooter/三人称視点シューティングゲーム)では、後ろから忍び寄ってくる対戦相手の足音など、音で状況を判断できるかどうかが勝敗を大きく左右するため、コアなプレイヤーほど、高性能なヘッドセットを求めていることがわかりました。そこで今回は、プレイヤーの方がこだわる音のニーズに応える新製品を3モデル発売します。
佐藤:はい。INZONEのゲーミングヘッドセットでは、ゲームのプレイ中に重要となる「音からの情報」を正確に得られる音質を目指しました。その上で、音からの情報を得るためのツールとしてではなく、よりゲームに没入できる、楽しめる音質に仕上げています。
江島:ソニーが長年培ってきた360立体音響技術をベースに、ゲーム向けのバーチャライザーを新規に開発しました。バーチャライザーとは、実際にはヘッドセットの左右のスピーカーから再生される音が、まるで頭の外を取り囲む仮想スピーカーから聞こえるかのようにしてくれるというもの。これによって、ゲームが持っている本来のサウンドをヘッドセットで忠実に再現することが可能となっています。
江島:ソニーの既存のモデルでも採用している、個人最適化機能を搭載しています。実は人間の音の聞こえ方には耳の形状などに起因する個人差がかなりあり、それを加味した処理を行うことが立体音響を忠実に再現するための重要なポイントとなります。そこで、スマートフォン向けアプリ『360 Spatial Sound Personalizer』を使ってユーザーの耳の写真を撮影し、それを元に分析した聴感特性をバーチャライザーの処理に反映させることで、INZONEでも利用できるようになっています。
ただし、INZONEのバーチャライザーはゲーム向けに最適化されたもので、360 Reality Audioのものとは異なります。具体的には音楽体験において重要な音の響き感よりも、音の位置情報を正確に把握できるようなチューニングを施しています。
椎名:これらのバーチャライザーや個人最適化機能はINZONE専用のPCアプリケーション『INZONE Hub』を利用して実現しており、処理の工夫やゲーミングPCならではのマシンパワーを駆使するなどして音の遅延を抑えています。なお、個人最適化については耳の写真の撮影にはスマートフォンを利用し、その分析はクラウド上で行われており、インターネットを通じて『INZONE Hub』に分析結果が共有される仕組みです。また、より多くの方にこの立体音響を体験していただくため、面倒な設定の必要なく簡単に使えるようにすることにもこだわっています。
なお、『INZONE Hub』にはほかにも、多くの機能が用意されており、プレイヤーがゲームのサウンドを自分好みにカスタマイズできる10バンドのイコライザーや、ダイナミックレンジコントロール機能も搭載。これによって、たとえば微細な音の成分を持ち上げて聞き取りやすくするといったことができます。そして、それらの音をゲームタイトルごとにサウンドプロファイルとして保存しておくことが可能。サウンドプロファイルをゲームタイトルに紐付けしておくと、そのゲームが起動すると同時にプロファイルが切り替わるアプリ連動という機能も用意しています。
椎名:ちなみにこのサウンドプロファイルですが、アプリから書き出したり、読み込んだりできるようにしています。ですので、たとえばプロプレイヤーがふだんのプレイで使っているプロファイルを書き出してファンに配布するといったことも可能。それを読み込むことでプロプレイヤーと同じ音設定でゲームプレイできるようにもなります。
佐藤:ここまでのお話にもあったように、このゲーミングヘッドセットにはこれまでにソニーが培ってきた音響技術を多く採用しています。今回、その中で特にこだわったのがハウジング内部の音響構造です。ヘッドホンの左右で音響特性がずれてしまうと、聴こえてくる音の定位にも影響してしまいます。特に定位感を大事にする本モデルでは、音響構造が左右対称になるように設計しました。
佐藤:ゲーミングヘッドホンなどワイヤレスヘッドホンではシンプルなワイヤードヘッドホンに比べて本体にバッテリーやスイッチを搭載する為、一般的にハウジング内部が左右対称になりません。特にワイヤレス対応の『INZONE H9』『INZONE H7』はバッテリーやアンテナなどもありますからなおさらです。そこでハウジングの構造を工夫することで解決しました。いたずらに構造物を増やしても本体が重くなってしまいますので、ハウジング上部にダクトを設け、ハウジング内を流れる空気の流れをコントロールすることで内蔵されるバッテリーや基板の影響を受けないようにしています。さらに、ダクトには迫力ある低音の再生を実現するという役割ももたせています。
佐藤:ノイズキャンセリング機能はゲーム中に聞こえてくるPCの音や、エアコンなどの動作音といった屋内での騒音を低減し、よりゲームに集中できるように搭載しました。
佐藤:はい、そうです。そのほか、自分以外の家族が立てる音や、家の前を自動車が通過したときの音など、家の中にいても思った以上に外部の音は聞こえてきます。そうした周囲の音に気を取られず、集中してゲームをプレイしたいという方にはノイズキャンセリング機能を搭載した『INZONE H9』がおすすめです。
さらに『INZONE H9』にはヘッドセット装着中に周囲の音をきちんと聞き取れるようにする「アンビエントサウンドモード(外音取り込みモード)」も搭載。ゲームプレイ中に家族に話しかけられたり、インターホンが鳴ったりした時にも気がつけるようにしています。
山本:まず、3モデルで共通のヘッドクッションを、厚く、柔らかい幅広のものにしました。柔らかなヘッドクッションは頭にかかる重量を分散してくれるので、長時間装着していても圧迫感を軽減してくれます。また、幅を広くすることでねじれを抑え、厳選した合皮を使用することでグリップ性を高めています。
鈴木:その上で、耳に直接接触するイヤーパッドについては機種ごとに素材や形状を変えています。最上位の『INZONE H9』には先日発売されたばかりのノイズキャンセリングヘッドホン『WH-1000XM5』に採用された、柔らかくて伸縮性に富んだソフトフィットレザーを採用しました。さらっとした触感なのですが、それでいてグリップ力が高く滑りにくいのが特長で長時間ゲームをプレイしていてもとても快適なんですよ。遮音性も高いため、『INZONE H9』の売りであるノイズキャンセリング機能の効果をより良くする効果もあります。
西原:これに対し『INZONE H7』および『INZONE H3』には快適性の高いナイロン素材を使用しています。こちらも蒸れを感じにくい素材で、同じく長時間のゲームプレイでも快適なまま使い続けられます。細かいところではイヤーパッドの縫い目が肌に触れないよう構造を工夫しました。また、柔らかいイヤーパッドを使用する事で頭部の形状に柔軟に追従し、高い遮音性と快適な装着性を実現しています。
鈴木:さらにイヤーパッド構造の工夫でも快適性を高めています。まずサイズをより大きめにし、内側の空間を充分に取ることでイヤーパッドの中で耳が窮屈にならないゆとりのある装着感を実現しています。ちなみにこのことは快適性だけでなく音質面でも有利に働くんですよ。
鈴木:それらはユーザーが直接触れる部分なのでとても意識した部分です。苦労しましたが、できあがった製品は狙い通りに装着感が良く、長時間使っても圧迫感や疲れを感じ難くする事が出来ました。ゲームはもちろん、映画鑑賞やビデオ会議などでも使用できるプロダクトになっております。
金子:おっしゃる通り、ゲーミングヘッドセットではゲーム画面を見ながら音を聴くという特性上、プレイに支障をきたさないよう、音の遅延を最小限にする必要があります。そこで、今回の製品では一般的なBluetoothではなく、専用のUSBトランシーバーを介した独自の2.4GHz無線方式を採用することで低遅延化を追求しています。
金子:Bluetoothで繋いだ場合のおよそ5分の1程度になります。これによって、スピード感のあるドライビングシミュレーターやFPS、TPSゲームなどでも違和感なく快適にプレイしていただけるようになりました。付属の専用USBトランシーバーは購入時点でヘッドセットとペアリングがされているため、PCに装着するだけで面倒な設定をする必要無く自動的に接続が完了するというメリットもあります。
斎藤:その上で、実は本機はBluetoothでの接続にも対応しています。2.4GHz無線方式との同時接続も可能で、たとえばPCやPlayStation®5のゲーム音声を低遅延の2.4GHz無線方式でプレイしながら、同時にスマートフォンにBluetoothでつないで仲間とのボイスチャットを楽しむということができます。もちろん、急に電話がかかってきたという場合もヘッドセットのマイクを使って対応できます。
斎藤:はい、そのままでは電波の干渉があり、音質や接続性が落ちてしまいます。そこでこの製品ではアンテナのアイソレーションをしっかり確保し、互いのアンテナが干渉しないよう設計を工夫しています。まず、板金アンテナを採用しており、互いのアンテナ方向への指向性を調整した物を、カスタムで作成して使用しています。さらに、主に屋内で使われるゲーミングヘッドホンの特性を考慮し、アンテナの指向性についても天井からの跳ね返り電波など屋内使用を想定した設計を行っています。その為、Bluetoothと2.4GHz無線方式の同時使用時でも音質の劣化なく、安定した接続が可能となっています。
金子:『INZONE H9』は最大32時間、『INZONE H7』は最大40時間の駆動が可能になっており、あまりおすすめはできないのですが(笑)、丸一日以上ゲームし続けることも可能です。
金子:2つのポイントがあります。1つはバッテリーサイズですね。もちろん大きくすればするほど長時間使えるようになるのですが、同時に本体重量が重くなってしまいますし、左右の重さのバランスを取るのが難しくなります。本製品では軽さや重量バランスも考慮しコンセプトにあった最適なサイズのバッテリーを選びました。2つ目のポイントは、バッテリーを少しでも効率的に使うために、低消費電力なデバイスを新規に設計検討して、全体の消費電力を抑える工夫をしています。
また、10分の充電で60分利用できるようになる急速充電にも対応させました。さらにバッテリーが完全になくなってしまっても、USB Type-CケーブルでPCやUSB ACアダプターに接続し、充電をしながらヘッドセットが使えるようにもしています。
斎藤:これによってバッテリー切れを気にすることなくプレイし続けることが可能になりました。ゲームプレイヤーとしての自身の経験から、この機能は絶対に外せないところでした。そこまで長時間ゲームしないという人でも、ワイヤレスヘッドホンの充電を忘れるということはよくあることですので、多くの人に役立つ機能だと考えています。
斎藤:はい。USBからの給電ではノイズが大きく、音質を阻害してしまうため、設計時にその対応が必要になります。今回は、充電中の音質を確保するため、ワイヤレス性能に影響を与えないレベルでデジタル部とオーディオ部の回路を分離するといった工夫を行っています。このやり方は私が過去に担当したPCMレコーダー『PCM-D10』で採用したやり方を応用したものなんですよ。
篠原:ケーブルが頬や首筋に当たらないよう、ケーブルを出す位置を工夫しています。このあたりはソニーが長年ヘッドホンを作ってきたノウハウが生かされている部分だと思います。また、左側のハウジングにはアナログ方式のボリュームを搭載しており(『INZONE H9』『INZONE H7』はデジタル方式)、PlayStation®5のコントローラーに接続した場合でも耳元からボリューム調整を行なえるようにしています。
篠原:『INZONE H3』はベーシックモデルですが、本体重量が軽いという特長もあります。軽さを重視する人にはぜひこの選択肢を検討していただきたいです。
佐藤:3モデル共通で口元までマイクを近づけることができるブームマイクを搭載しています。そのため、ハウジング部にマイクを内蔵しているような製品と比べ、はっきりと自分の声を相手に届けることが可能です。また、マイクユニットに指向性を持ったものを採用することで、キーボードやコントローラーを操作している手元の音を拾わず、自分の声だけにフォーカスして集音できるようにし、高い通話性能を実現しています。
山本:また、ブームマイクは可動式で、最大130度の範囲で好きな位置にピタッと止めることができます。さらに、使わない時は側面の邪魔にならない位置に収納しておくことが可能です。マイクを収納位置まで回転させるとカチッという音と手応えでちゃんとミュートになったことを確認できるという細かな工夫も施しています。
佐藤:仲間とボイスチャットをしながらプレイするという方に役立つ機能として『INZONE H9』『INZONE H7』には、ゲーム音声とチャット音声の音量バランスを耳元から変更できる機能を用意しました。右側のハウジングに搭載されたスイッチの「GAME」側を押すとゲームの音量が上がってチャットの音量が下がり、「CHAT」側を押すとチャットの音量が上がって、ゲームの音量が下がります。ゲームの音よりも仲間との会話をはっきり聞きたい、また逆にゲームの音に集中して敵の位置を把握したいといったシーンで、PCやPlayStation®5の設定画面をいじる手間なく簡単に使える機能となっています。
鈴木:まず、この丸みを帯びた形状ですが、モチーフとしたのはヘリコプターのコックピットやF1ピットなどで使われているヘッドセットのオーバルなハウジング造形です。プロフェッショナルが自らの仕事のために妥協せずに選び抜いた遮音性、装着性に優れ、手に馴染みやすい形状を元に、さまざまな機能を瞬時に操作できるよう、ボタンやスイッチの位置を細かく調整しています。
鈴木:『INZONE H9』および『INZONE H7』では、ヘッドバンドの軸受面やブームマイク根本の回転面について、最適な角度でハウジングをカットし、デザインの特徴としています。また『INZONE H9』はこの部分に円形のLEDリングを配置してステータスを表示。機器同士の繋がりが可視化されたほか、ゲーミングギアらしい佇まいを醸し出しています。
西原:有線接続の『INZONE H3』についても、上位モデル同様、手に馴染むオーバルなハウジングや、ブームマイク根本のデザイン処理などは継承。その上で、全体のカラーバランスを考え、ブームマイクを黒くするなどしています。また、最大の相違点となっているハウジング部を左右から抱えるハンガー構造とその内側の細かな音響ダクトについては、上位モデルのイメージを踏襲しながら、堅牢かつシンプルでクリーンな印象を持たせるように心がけました。
伊勢崎:『INZONE H9』と『INZONE H7』は、PlayStation®5にUSBトランスミッターを接続すると、ヘッドセットの接続・電池残量・ボリュームなどといった各ステータスを画面上の表示で確認できます。また、先ほど説明したゲーム音声とチャット音声のバランス調整機能をPlayStation®5でも使用できます。このように、ゲームを楽しむうえで重要な便利機能が、PlayStation®5でもばっちり利用可能です。
さらに、PlayStation®5で用いられている立体音響技術「Tempest 3Dオーディオ」は、立体音響に特化したINZONEのゲーミングヘッドセットと相性が良く、包み込まれるようなサウンドを高いレベルで楽しめます。
伊勢崎:INZONEは、ゲームを愛するすべてのプレイヤーの皆さまに、ゲームへの没入、勝利、そして感動といった体験を味わっていただくためのゲーミングギアです。今回同時に発表されたゲーミングモニターも含め、ソニーはゲーミング市場に熱いパッションを持って新商品を展開します。これまで培ってきた映像・音響技術のあるソニーだからこそ、ゲーミングという新しいカテゴリに対しても自信を持って商品をお届けできると思っていますので、まずはぜひ、そのクオリティを店頭などでお確かめください。よろしくお願いいたします!