年に一度、「いつまでも守り続けたい日本の自然」をテーマに、動植物や風景、人間の営みを捉えた優れた写真作品を顕彰してきた「日本の自然」写真コンテスト(朝日新聞社・全日本写真連盟・森林文化協会主催、ソニーマーケティング株式会社協賛)も、今年でついに40回目を迎えました。今年もその参加人数、応募写真点数は過去最多を更新。写真を4Kテレビで映し審査するデジタル部門には1万421点、紙に出力した写真を審査するプリント部門には5,022点、合わせて約1万5,000点を超える素晴らしい写真がしのぎを削りました。
ここでは2023年7月29日(土)に朝日新聞東京本社読者ホールで行われた表彰式の様子と、ソニー製カメラで撮影された入賞作品、受賞者の喜びのコメントをご紹介します。
7月とは思えない暑さが続く中、東京・築地の朝日新聞東京本社読者ホールにて行われた「日本の自然」写真コンテスト表彰式。デジタル部門、プリント部門合わせ、のべ97名の受賞者のうち、43名ものフォトグラファーが日本各地より式典に参加しました。なお、デジタル部門最優秀賞 ソニー4K賞を受賞した坂本誠さんは、2週間前の記録的豪雨で大きな被害を受けた秋田県からのご参加。また、デジタル部門入選のTeo Chin Leong(テオ チンリョン)さんは遠くシンガポールより今回の式典のために来日しました。
表彰式はまず、主催者挨拶として朝日新聞社前社長、全日本写真連盟会長の渡辺雅隆氏が登壇しました。渡辺氏は、今から40年前、1983年に朝日新聞が行った「21世紀に残したい日本の自然100選」という読者参加型の写真コンテストが「日本の自然」写真コンテストへと発展し、今日まで続いていることを紹介。近年、世界各地で大きな被害を生み出している異常気象に触れ、それが我々の「暮らし」だけでなく、「自然環境」にとっても大きな脅威となっていると警鐘を鳴らしました。そうした中、本コンテストに参加したフォトグラファーの皆さんが「常日頃から身の回りの自然を注意深く観察し、貴重な記録を残してくださっている」ことを評価し、このコンテストを通して環境破壊に対する意識を高めていきたい、日本の自然を守る活動に貢献し続けていきたいと語りました。
続く協賛社挨拶ではソニーマーケティング株式会社 執行役員 伊藤秀樹が登壇。カメラ記者クラブによりその年で最も優れたカメラを選出する「カメラグランプリ2023」でソニーのミラーレス一眼カメラ『α7R V』が最優秀賞である大賞を獲得したことに謝意を示しつつ、今後も写真文化の活性化に貢献していくことを約束しました。またステージに用意された4Kテレビの最新フラッグシップモデル『ブラビア XRJ-75X95L』をはじめとして、撮影だけでなく作品鑑賞の環境づくりにおいても力を入れていくことをアピールしました。「機材以外の面でも写真や映像を愛する方々の支援を続けていき、皆さんの夢に寄り添いながら感動体験を拡大していくこと、これをソニーとしてサポートし続けていくことを約束します」と結びました。
以降のパートではソニー製カメラで撮影され受賞した作品の一部とそこに込められた撮影者の想いを、表彰式後に行われた講評会での審査委員コメントも交えながらご紹介します。
写真を4Kテレビで映し審査するデジタル部門の最高峰となるのが「最優秀賞 ソニー4K賞」。大画面4Kテレビで鑑賞するスタイルに相応しい壮大さ、雄大さを備えたデジタルフォト作品に贈られる賞です。見事受賞した坂本誠さんは昨年、プリント部門で秋田県一賞を受賞しており、今回はそこからの大きな飛躍となりました。
最優秀賞 ソニー4K賞
写真を4Kテレビで映し審査するデジタル部門ですが、この作品には一目でとりこになりました。今にも飛びついてくるようなライブ感、生々しさが素晴らしい。もう、満場一致で最優秀賞です(笑)。決定的な瞬間を捉えているところに加え、被写体を浮かび上がらせる背景の色合いも見事です。実は過去の最優秀賞作品にも動物同士が激突した様子を捉えたものがあり、似たモチーフの写真を再び最優秀賞にするのはどうかとも思いましたが、撮影者の想いや鳥たちの命が響いてくる本作品こそ、この賞に相応しいと考え直し、今年のデジタル部門のトップとして選ばせていただきました。おめでとうございます。(写真家・福田健太郎氏)
「ソニーネクストフォトグラファー賞」とは、30歳以下の若手フォトグラファーを対象としたデジタル部門だけの特別な賞。被写体の選定から撮影手法まで、従来の常識にとらわれないみずみずしい感性で撮影された、これまでにない表現に挑戦していく人のための賞となります。今回は25歳の小川竜太さんが沖縄県・宮古島で撮影した写真がこの賞に選ばれました。
ソニーネクストフォトグラファー賞
ウミガメは海洋生物の中でも人気な存在であり、人々に愛される生き物です。この作品では、その自然な行動や水中の景色との相互作用を捉えることに重点を置きました。真上から撮影することによって、綺麗な甲羅の模様なども捉えることができたのではないでしょうか。数年前までウミガメの保護や調査の仕事に携わっていたこともあり、この作品を通じてウミガメの保護に対する関心が高まっていくことに期待しています。
水中の風景写真を撮影する際に私が心がけているのは「光の美しさを最大限に引き出すこと」です。水中では光が特別な表現力を持ち、綺麗な風景を創り出します。自然光の柔らかな輝きや水の透明度など、地上とは撮れる写真が全然違ってくるのです。光の使い方によって、水中の風景がより深みを持ち、魅力を放つことを目指しています。
この作品で写されている沖縄の海はサンゴも全く見えない、僕らの表現で言うと「ガレ場」と呼ばれる状態の海です。しかし、光の使い方がとても巧く、むしろとても美しい。海底のサンゴが波で砕けて砂状になったところに光が当たり、ハレーションを起こさんばかりの輝きと、そこからの美しいグラデーションを見せています。そして、その中を泳ぐウミガメの上をゆっくりと一緒に泳ぎ、ヒレが開いた瞬間を見事に撮影したのがこの一枚というわけです。環境が悪くても、創意工夫で素晴らしい写真が撮れることを示した作品で、本当に良い写真だと思いました。(写真家・中村征夫氏)
▼▼受賞作品をクリックすると、拡大してご確認いただけます▼▼
月の満ち欠けの状態や、空気が澄んでいるなどの条件が必要だったため、良いタイミングで撮れたと思います。
いつもは休日を利用し、熊本の阿蘇・大分のくじゅうの雄大な自然をメインに撮影をしています。この写真では、鍋ヶ滝(ナベガタキ)の滝が完全に凍結せずに水のカーテンが保たれている点と、裏見滝という情景を生かし、水飛沫が造る氷の造形美を滝の裏側から表現しようと思いました。撮影には『α7 III』を使用。暗い場所で撮影することが多いため、ブライトモニタリング機能や撮影感度の高さが気に入っています。
冬の雲海に包まれる大船山の真っ白な樹氷が朝焼けに照らされ、まるで「冬の紅葉」のように紅く染まる様子を、『α7R IV』ならではの高解像度できめ細かく写し出したく、何度も現地に通いました。カメラを始めて約4年、2台目の愛機となる『α7R IV』は高解像度と色味の良さが特に気に入っています。本体デザインも美しく、持つ喜びを感じさせてくれるところも満足度が高いと思います。
これまで30年以上写真を撮り続けてきましたが、最近はカメラの画素数が上がって緻密な写真が手軽に撮れるようになったにも関わらず、隅々までじっくり見られる写真は減ったような気がします。私はこの写真に限らず、「映える」写真より「隅々まで」見られる写真を目指しています。
ふだんは主に野生生物の親子や家族をテーマに撮影しています。野生生物を撮影するときは、北海道の四季の風景、季節感も伝わるような一枚をと心がけて撮影しています。この作品では、ワタスゲのお花が一面に咲いた中に、和やかに時を過ごしているエゾシカ親子を見つけ、お花と親子の温かな雰囲気が伝わるよう、お花を前ぼけに綺麗な構図を意識して撮影しました。『α1』の瞬間的なAFの速さにはいつも助けられております。
誰もが撮影するような被写体はあまり狙わないため、人里離れた秘境地まで歩き、夏は秘境滝、冬は氷の世界を撮影して歩いています。今回は北海道の冬、凍り切った非日常の世界を一枚に閉じ込めることに挑戦。広大な洞窟内を余すところなく撮影したかったので超広角レンズで写し撮り、空気も凍るような世界を表現しました。撮影に使用した『α7R III』は、厳寒時のバッテリー性能や現像耐性が高く、特に夜景を撮る時には大満足のカメラです。
大雪山の山々で動物を撮影しています。大雪山の美しい風景や花と一緒に撮影することを心がけています。6〜10月の短い間ですが、休日ごとに山に入り撮影しています。2022年に『α1』を購入。山で撮影する際は撮影機材の他、テントや食料なども担いでいく必要があるため、軽量でコンパクトなこの製品を選びました。AF性能もすばらしく、現在はこの1台で撮影することがほとんどです。
日の出前、樹氷のトンネル越しにタンチョウが目覚めのひとときを過ごしているのを見つけ撮影を始めました。太陽が昇り始めると、それまで青一色だった樹氷のトンネルが逆光に照らされ、まるで宝石のように輝き出しました。人間が近づきがたい、神様が宿ったような光景に手が震え、「いま私は、とんでもない一瞬を撮っている」という思いがこみ上げ、鼓動が高まったのを記憶しています。とにかく夢中でした。
寒い朝、チカラシバの花穂の霧氷が白く輝くさまで自然の美しさを表現することにチャレンジしました。写真中央下部、霧氷に覆われたトンボが太陽の光を待っている姿から生命力を感じられることがこの撮影のポイントです。『α7R III』は、それまで使っていた『α7R II』と比べて高画質で、ミラーレスならではの小型・軽量さ、G Masterのレンズと組み合わせた際の操作性の良さも気に入っています。
写真が趣味で、世界中を旅して写真を撮っています。写真撮影のために訪れた国は、アイスランド、マレーシア、ベトナム、ミャンマー、インドネシア、タイ、バングラデシュ、日本などです。この写真では九州の自然の静けさと美しさを伝えたいと考え、撮影しました。現在常用しているカメラは『α7C』と『α7R IV』。これまで何度も撮影旅行や冒険に同行してくれたこともあり、私はこれらのカメラに愛着をもっています。
ふだんは主に野鳥の生態を撮影しております。季節ごとに被写体とテーマとシーンを決めて、時には車中泊などもしながら、一つの被写体をできる限り時間をかけて撮影してきました。この写真では生き物の一瞬の躍動感を表現したく水浴びというシーンに挑戦。撮影に使った『α1』は野生動物の動体を撮影するために購入しました。その圧倒的な撮影性能に「もっとこんなシーンが撮れるのでは?」とワクワク感を駆り立てられています。
泳ぎ去る野生のミナミハンドウイルカの群れの中から1頭がUターンをして、まるで私に話しかけるように見つめてくれた時の一枚です。野生動物と人との距離感や付き合い方にはさまざまな意見がありますが、このような瞬間を経験する度に言葉は通じなくても心で対話できるように感じます。イルカは決して危険生物ではなく、人がマナーを守って向き合えば素敵な時間を共有できるということが伝われば嬉しいなと思います。
フロストフラワーの繊細さを表現するため、凍った湖に寝そべって被写体になるべく近づいて撮影しました。
光跡は時間の記憶。コロナ禍で減った登山者も回復してきた令和4年夏。登山者の多い時期を狙いバルブ撮影で富士山頂を目指す登山の光跡と星の軌跡を撮影しました。『α100』以来、αシリーズに惚れ込み現在まで愛用し続けています。今使っている『α7 III』は操作性、高感度ノイズ性能が大幅に改善されたことに加え、大型バッテリーによって撮影枚数が増大した点が気に入っています。
当たり前の日常はかけがえのないこと、こんな素晴らしい世界に生きていることを、光り輝く水田とあぜ道、そこに住む人々で上手く表せないかなと考えて撮りました。田んぼに水が張られるこの時期、この場所の夕景は素晴らしく、超望遠にて撮影。ノスタルジックな画に出会えました。
山の中、自然公園、河川敷、近くの公園などで、虫や小さな生き物をマクロで撮影しています。この作品では、虫たちが色々な表情を持って過ごしている様子を表現しようと思いました。アリたちにもピントを当てながらも何かを言いたそうなキリギリスの眼の表情も見ていただければ。『α7R II』は虫の質感や表情をしっかりと写し取れる高画質機ながら、手の小さな私にもしっかりグリップできるサイズであることが気に入っています。
熊本を主に「見慣れた風景をアート作品に!」というコンセプトで九州の風景、花、ポートレートなどを撮影しています。この作品では桜と朝日と菜の花の鮮烈なコントラストを表現しようと考えました。輝度差をどう埋めるのかがポイントです。もう少し雲がドラマチックに出てくれればよりよい作品になったのではないかと思います。
撮影した写真を、撮影者自らがサイズ、紙質、色味までを吟味して出力したものを審査対象とするプリント部門。古くからカメラを愛好してきたベテランフォトグラファーが集うハイレベルな部門です。今年そのトップに選ばれた加藤健さんは、昨年デジタル部門で入選。今年はそこからのプリント部門最優秀賞という快挙を成し遂げました。
最優秀賞
昨年の表彰式で上位の賞を獲得された皆さんがもらっていた作品の写真付き賞牌(しょうはい)を見て、「自分もあれがほしいな」と思ったことが今回のモチベーションになっていました。ただ、まさかこんなに早く獲得できるとは思っておらず、今でも夢ではないかと思っているほどです(笑)。
撮影地に選んだ棚田は、初夏にはいろいろな種類のカエルやバッタなどに出会える、小さな生き物を撮影するのに向いた場所。この日は、小型軽量な『α6000』にフィッシュアイコンバーターを装着し、葉っぱの上にぽつんとたたずんでいたカエルの飛翔シーンを撮ることに挑戦しました。残念ながらまだ夜明け前ということもあって活動的なカエルはおらず、望むシーンは撮れなかったのですが、美しい夜明けの景色に見とれているようなカエルに出会い、小さな生き物も人間も自然を愛おしむ気持ちは一緒なんだなぁと感じていました。超広角で思い切り寄って撮影したことで臨場感を狙い、それが表現できたと思っています。
この小さなカエルに近付いて撮りつつ、風景写真としても成り立たせるのはとても難しいんですよ。(APS-Cサイズセンサーを搭載した)『α6000』で撮影したとのことですが、フルサイズセンサーのカメラではこうは撮れなかったでしょう。しかもよく見ていただけると分かるよう、目に太陽の光が反射しているんですよね。こういうところもきちんと計算されているのが素晴らしいと感じました。聞けば、地面に這いつくばって、カエルの数センチ手前のところまでレンズを近づけて撮ったとのこと。そこまでいくとカエルの気持ちになって撮れるような気がしますね(笑)。審査員一同、文句なしでのプリント部門最優秀賞受賞です。おめでとうございました。(写真家・海野和男氏)
▼▼受賞作品をクリックすると、拡大してご確認いただけます▼▼
人間社会と野生動物の世界との曖昧な境界線を表現しました。北海道では人間社会のすぐそばで暮らす野生動物も多く見られます。この作品では、人工物を隠すのではなく、その暮らしをストレートに伝えたいと考え、撮影しました。キタキツネよりも目線を下げ、地方から都市部に出てきた人間がビル群を見上げているような様子を狙っています。
この写真を見た時、まるでミュージックビデオの背景のような空間の中に野生のキタキツネがいるというギャップに心惹かれました。柳楽さんは人間社会と野生動物の世界の境界の曖昧さを表現したかったとのことですが、まさにその狙いがはまった作品だと思います。細かな点ではキタキツネの視点の先をあえて見せないところが非常に効果的だな、と。いったい何があるのか、そこにある物語を想像したくなる作品ですね。(朝日新聞東京本社映像報道部長・加藤丈朗氏)
北海道に住むエゾモモンガが滑空する様子を切り取ってみたく撮影に挑戦。モモンガが巣穴に戻るルートコースを予測してピンを置き、高速連写で切り取りました。ハンノキの花芯を口いっぱいに頬張って、どこか得意気な表情で巣穴に帰るエゾモモンガの姿を見ていただきたいですね。撮影に使った『α9』は描写力、スピード、コンパクトさが気に入っています。『FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS』の解像力も見事で、クロップしてもエゾモモンガの瞳までシャープに描写してくれています。
北海道美瑛町の広大な麦畑、うねりを伴う地形、綺麗なだけではない厳しい土地での農業風景を収めたく撮影。なお、写真撮影のために1年半、美瑛町に住んでいました。美しい風景で有名な土地ではありますが、農業に従事する方の営みで作られていますので、感謝と敬意は忘れずに撮影しています。
10年間、ライフワークとして白鳥を撮り続けてきました。しかし、この日は寒く冷たい雨が降ったせいで白鳥が飛ばなかったため、かねてより撮影したいと思っていた白鳥の羽根の写真を夢中で撮影。小さな被写体ですが、『α7R IV』のフォーカスエリア「フレキシブルスポット(M)」で何とか撮影することができました。僥倖の撮影でした。
白馬大雪渓の白根葵をねらって何年もこの地を訪れていますが、このときは特に美しく、さらに山荷葉まで共演してくれました。実は登り始めたときは霧に包まれていたのですが晴れると信じて登り続け、白根葵のアップを撮っていたところで本当に晴れてきました。晴れれば、虫たちも鳥たちも出てくる。その生命感ある風景を狙いました。αは特に赤色の発色が美しく、紅葉などを素敵に撮影できます。スマートフォンへの転送も簡単で、撮影してすぐ友人らに共有できるところが気に入っています。
主に、北海道の野生生物の親子や家族をテーマに撮影しています。野生生物を撮影するときは、北海道の四季の風景、季節感も伝わるような一枚をと心がけています。今回は、満開の桜と、エゾリスの可愛らしさを写し撮りたくて、広角レンズを使用して撮影しました。広角レンズだと、野生のエゾリスとの距離間が非常に難しく、とても苦戦しましたが、一瞬のチャンスを捉えることができて良かったです。
北海道・美瑛在住ではあるものの、ライフスタイル的に道内各地を巡ることが難しいため、美瑛・富良野エリアに限定して風景メインで楽しんでいます。今回もキタキツネの親子を主役に据えつつも、美瑛の丘が舞台であることは明示したかったのでズームしすぎないように気をつけました。『α7R IV』は、2020年2月に購入。クロップ前提で撮影することがあるので、有効約6100万画素の高画素は大きな魅力です。
住宅街で生活する猛禽類の姿を捉えつつ、インパクトがある背景として画面全体を一棟の建物で埋め、また見ていて心地よさを感じるよう垂直水平のラインを意識して撮りました。普段の生活でも身近に魅力的な被写体は沢山有ると思いながら、日々撮影を楽しんでいます。動物瞳AF搭載を契機に一眼カメラデビューし、現在は『α1』を使っています。どんな場面でもこのカメラがあればほぼ大丈夫というのが心強いですね。
4年前に野生動物を撮影してみたいと思い立ち、『α7R III』と『FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS』を購入しました。現在は『α1』に乗り換えていますが、圧倒的なAF性能とトリミング耐性の高さがお気に入りです。撮影時は野生動物の躍動感ある一瞬を表現しようといつも考えています。ここでは、子ギツネの周りをエゾモンシロチョウが飛んでいたのを見つけ、子ギツネが飛びつくのを待って撮影しました。
三重県・瀬田川を埋め尽くすように泳いでいるボラの群れが、ぶつかったり折り重なったりしながら、前へ、前へと進む姿が面白いと考え、撮影しました。老後のぼけ防止にとカメラを始め、2008年にはデジタルに。現在使っている『α7 III』は高校野球が撮りたくて2021年に購入したものです。スナップ写真を主体に祭など、幅広く撮影しています。
青森県にはブナの原生林が多く点在し、ツキヨダケはブナの立ち枯れに自生します。世界遺産白神を有する青森県を象徴するブナの、生命力や自然の中の役割などを伝えたかった一枚です。カメラは『α1』を発売と同時に購入。AFの速さ、追従性、高画素、全てを気に入っています。現在はサブ機も追加購入し、2台持ちしています。
花に集まる昆虫の姿をよく撮影しています。このときは向日葵の花についている蟻をみつけ、特徴的なめしべのハートマークと一緒に撮影することができました。αはミノルタ時代から愛用しており、現在は『α900』を愛用中。使い慣れたミノルタ時代のレンズをそのまま装着できるのがうれしいですね。
過去最多の参加人数、応募作品点数を更新した第40回『「日本の自然」写真コンテスト』。審査委員を代表して総評を述べた写真家・海野和男氏は、入賞作品の多くが動物写真であるという傾向に触れ、その背景にある風景写真でオリジナリティを出すことの難しさに言及しました。見事な風景写真を見せられると、どうしてもそこで同じように撮りたくなってしまう、その気持ちは分かると前置きしつつ「もっと自分なりの“何か”を探さなければ、審査員の心に残ることはできない」「動物写真にせよ、風景写真にせよ、自分だけの世界を築いていけば、もっともっと写真の世界が広がっていくはずです」とアドバイス。応募点数が今後さらに増加していくと予想される中、これまで以上にオリジナリティを大切にした作品づくりをしていくことを奨励しました。
なお、今回の『「日本の自然」写真コンテスト』受賞作品を4Kブラビアの大画面で楽しめる巡回展は現在、日本各地で開催中。
開催場所とスケジュールは下記よりご確認ください。
ソニーストアでは、ご自身が撮影した写真やお持ちの映像を、実際の4Kブラビアに映し出してご覧いただけます。
テレビで楽しむ写真鑑賞スタイルの体験などにご利用ください。
美しく優雅なだけではない
荒々しい野鳥のたくましさを表現
昨年は子熊の写真で入賞したのですが、実はここ数年は野鳥の美しさに魅了され、その撮影に力を注いでいます。この写真はコミミズクとノスリの縄張り争いの様子を撮影しました。おそらくは越冬のために南下してきたコミミズクがノスリの縄張りに入り込んでしまったのでしょう。ものすごいスピードで目の前を横切ったコミミズクに気付き、カメラを構えた時にはノスリがコミミズクを掴んでいるところでした。ふだん目にする、優雅に舞う野鳥達の裏側にある厳しいシーンを撮影できてよかったです。貴重なシャッターチャンスを逃さぬよう、いつも車の助手席にシャッター速度を速めに設定したカメラを置いているのですが、今回はそれが功を奏しました。秒間約30コマの連写が可能で、フォーカス性能にも優れた『α1』の恩恵も大きかったと思っています。
なお、先日の秋田県の豪雨では、私が撮影に赴く野山にも大きな影響がありました。特に心配なのが雛の生育です。大きな影響なく、また来年も野鳥が元気に過ごせるようになることを祈っています。