──2008年にα900が登場してから今年で4年です。時間の経過とともにイメージセンサーなどカメラを構成するさまざまなテクノロジーが進歩しました。
花田:この4年の間には、ソニーのNEX(Eマウント)に代表される小型一眼の登場やフルハイビジョン動画撮影の広がりなど、デジタル一眼カメラをとりまく環境にも大きな変化がありましたが、カメラそのものにおける高画質化技術という点においても大きな進化がありました。そして、この技術的な進化をα99においては、解像度と低ノイズの両立を踏まえた高い質感の実現に向けて画質設計を進めてきました。
──“解像度と低ノイズの両立を踏まえた高い質感の実現”はα99の写真表現に何をもたらしていますか?
花田:すべての“α”が目指している臨場感の表現をα99ではさらに追求し、臨場感の源となる空気感や被写体の質感を捉えることを目標としました。たとえばここに太陽の淡い光が差しこんだ風景写真があるとします。木の葉に写るその光は朝焼けの輝きなのか、それとも夕焼けの赤みなのか。そのちがいが感じられるような、思わず写真に手を伸ばしたくなるような、奥行きのある質感表現をα99は目指しています。フルサイズフラッグシップ機に求められるその高い次元のわずかなちがいを表現するために、α900で用いた設計や技術のすべてを、光がイメージセンサーに入ってくる段階からデータとして出力するまでのあらゆる面で見直すべきだと考えました。