──“α”シリーズのファインダーは“見え”のよさに定評があります。なかでも視野率100パーセントのα900の光学式ビューファインダーはユーザーからの評価が高く、光学式ビューファインダーの最高峰ともいえる存在になりました。α99は“9”ナンバーの“α”として初めて電子式ビューファインダーを採用しました。新しい一歩を踏み出した背景には何があったのでしょうか。
足立:デジタル一眼カメラのファインダーには、外光に影響されることなく一定の“見え”で写真の仕上がりを確認できるメリットがあります。さらにレンズがとらえた光景をファインダーを通して見ることでカメラとの一体感を感じることができます。だからこそレンズの光を導くファインダーは、写真を愛する人々にとって欠かせない機構なのだと思っています。その一方で、巨大なイメージセンサーの採用から始まり、ヒストグラムを使ったピークレベルの確認やデジタル水準器の搭載など、デジタル一眼カメラは常に先へ先へと進んでいます。
──α99ではオートHDR撮影やフルHD動画撮影など、表現の幅や可能性も大きく広がっています。進化を続けるカメラに電子式ビューファインダーはどのように寄与するのでしょうか。
足立:α99をお使いになるお客さまを考えた際に、まず重要になるのがピント位置の確認がすばやく、かつ確実に行なえるということです。イメージセンサーの高画素化によって「ピント位置を確認する」という基本的な行為においても光学式ビューファインダーでは厳しい状況が生じてきているのは事実です。また、暗所やコントラストの低い状況などでも光学式ビューファインダーではどうしてもピントの山がつかみにくい。そのような条件下でも電子式ビューファインダーであればピーキングや拡大機能など、ベストな“見え”を提供することができます。
内田:さらに付けくわえると、ファインダーは撮りたいものを確認するための道具というだけではなく、カメラと撮影者がたがいに交わる接点でもあると思っています。α99のさまざまな機能を最高度に引き出し、かつ光学式ビューファインダーと比較してもまったくひけをとらない“見え”を提供するために、α99にはソニーが培ってきた技術を電子式ビューファインダーを用いるのがベストと考えました。