いわゆる乾電池の場合、単1、単2、単3、単4という言葉を聞くとすぐに電池の大きさをイメージすることができますが、ボタン・コイン電池の場合、その形状やサイズにあまり大きな違いがないため、なかなかそうはいきません。間違った種類やサイズのボタン電池を買ってしまい「いざ使おうとしたときに間違いに気付いた」という経験のある人も多いのではないでしょうか。実は電池の型番は「電池系」「形状」「寸法」の順に記号が並んでいるだけなので簡単に読み解くことができます。単なる記号として型番を覚えるのではなく、記号に込められた意味が分かると、何気なく使い、選んでいたボタン電池との距離がグッと近づくかもしれません。
=アルカリの/円筒型/外径7.9mm×高さ3.6mm
※LR41、43等は国際規格で固有の値が定められている
=二酸化マンガンリチウムの
/円筒型/外径12.5mm×高さ1.6mm
※寸法が4桁の場合は前2桁が外径、後ろ2桁が高さ
※型番はおおよその大きさで実際には表示より若干大きめの寸法になる
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充電の説明をする前に、再度電池について知っておきたいことは、電池は電気そのものが入っているのではなく、化学反応により発電する物質が入っているものだということです。充電のメカニズムは、ひとことでいうと、電圧と電流を与えることにより、発電とは逆の化学反応をおこさせること。では、イメージしやすいように水道を例に考えてみましょう。電池という容器に、水道という充電器で、水という電気を溜める(ただし、前述したように、充電は電気そのものを溜めるのではなく、物質に化学変化をおこさせる状態にする、ということです)。水圧や気圧と同じように電圧も高いところから低い方へと流れるので、充電の場合も充電池の電圧よりも少し高い電圧を流せばいいのです。
ところが、蛇口を大きく開けば早く水を溜めることができるように電圧が高ければ充電もスピーディに行えるというものではありません。電圧が高すぎると流れて来るすべての電気を充電池側で吸収できなくなってしまうのです。これは底の低い容器に強い勢いで水を入れるとはじいてしまう状態と似ています。でも、水圧(蛇口)を適度に調節すれば水ははじけずに容器内に溜まりますね。充電もこれと同様で、適度な電圧であればスムーズに電気が流れて来るわけです。
電圧のほかにもうひとつ重要なのが電流です。水道で例えるなら蛇口の太さでしょうか。電圧と同じように電流も大きければ充電のスピードが早くなる、というものではありません。充電池への電気の流れやすさ度合いのことを内部抵抗といいますが、この内部抵抗が低い方が電気はスムーズに流れ、たとえばニッケル水素充電池よりもニッカド充電池の方が内部抵抗は低いのが一般的です。このように充電には適度な電圧と電流が存在することを知っておきましょう。
充電に際して電圧と電流を適度にコントロールするのが充電器です。充電器には大きくわけると2つの種類があります。長時間充電器と急速充電器がそれで、この名前からも特長がわかるように充電にかかる時間の差が大きな違いです。長時間充電器は、流れる電流が少ないため、充電完了に通常8〜10時間の時間がかかります。充電に時間がかかるのはデメリットではありますが、電流が少ないことによるメリットもあります。それは、充電池が満タンになった後、あふれた電流は熱になるのですが、長時間充電器は、電流が少ないため電池へのダメージも少ないということ。一方の急速充電器は、早い時間で充電することができますが、充電池にダメージを与える可能性も同時に高まってしまうので、ほとんどの場合、満充電時を感知し、充電池のダメージを回避する回路が組み込まれています。
充電池にはどれだけの電気容量であるかを示す単位があり、充電池のラベルに表示してあります。「mAh(ミリアンぺアアワー)」や「Ah(アンペアアワー)」というのがその単位で、「Ah」は、「mAh」の1000倍です。たとえば「1600mAh」という表示の意味は、その充電池が「1600mA」消費する電気機器を1時間使用できるということになります。このような単位がわかっていれば、充電池を使用する機器の消費電力を確認することでどのくらいの時間充電池を使用できるかを把握することができますね。
物理電池には、シリコン太陽電池、セレン光電池、熱電池、原子力電池などがあり、中でも太陽エネルギーを活用する太陽電池は有望な電力源と考えられています。太陽電池の原理を簡単にいうと、太陽光線によって半導体の中の電子が動かされ、電流が生じる、ということになります。
半導体には、プラスの性質のP型半導体とマイナスの性質であるN型半導体があり、太陽の光が当たると、N型とP型がそれぞれ電池の両端に集まるため電圧が生じ、電気エネルギーが生まれるのです。
化学電池が電気を起こすには、プラス極とマイナス極になる材料と電解液が必要。例にあげると、プラス極となるのは銅板、マイナス極は亜鉛板で、希硫酸が電解液となります。
電気が起こるしくみは……
1)電解液に亜鉛板と銅板を入れると、亜鉛板は電子を残し、亜鉛イオンとなって電解液に溶けます。片や銅板はほとんど溶けません。
2)そして亜鉛板では電子の数が増え、電子が導線を伝って銅板へと移動。
3)希硫酸に含まれている水素イオンが銅板に流れてきた電子を受け取り、水素ガスに戻ります。
4)このようにして電子が消費されるとまた亜鉛板から電子が移動。
この電子の流れと反対に電流が流れ、電気エネルギーが生まれるのです。
プラス極とマイナス極の物質及び電解液の違いで電池の電圧や性質が変わります。電池の種類はこの違いなのです。また、この発電の原理は、イタリアの生物学者ガルバーニが、1791年、カエルの足の神経に2種類の金属を触れさせると電気が流れ、足がピクピクと動いたことにより発見されたといわれています。電池があるのはカエルのおかげかもしれませんね。