露出をコントロールすることは「良い写真」のための必須技術です。
言い換えれば光と影のコントロールが写真を決めると言われています。
この露出をコントロールする様々なテクニックを一般ユーザーにまで広めたのはαでした。
明るさに応じてシャッター速度と絞り値を自動的に決める便利なプログラムAEに、作画意図に合わせてプログラムモードのままでシャッター速度と絞りの組み合わせわせを変更できる機能です。「撮影者の意図を反映できること」が一眼レフに必要不可欠な要件としてαは技術開発が行われていました。
プログラムラインはそれまで単一でしたが、使用するレンズの焦点距離によって自動的に最適なラインを選び出す技術がこのオートマルチプログラムです。α-7xiではα-7700iで採用されたアドバンストプログラムAEをファジー推論の技術を用いてより高度に進化させました。
写真用メーターとの連携もαではシステムとして考えられていました。特にスタジオ撮影などでは入射光式メーターが必須とされていることから、αではフラッシュメーター IV型との間での情報交換可能な仕組を構築しました。フラッシュメーターIV型で測光した結果のシャッター速度と絞りの値を、データレシーバーDR-1000を通してα-9000に赤外線で送り、カメラのシャッター速度と絞り値を自動的にセットします。また、フラッシュ撮影では、フラッシュメーターIV型のテスト発光ボタンを押すだけでα-9000に付けられたフラッシュを自動的にテスト発光させることも可能です。
今では多くの一眼レフカメラに搭載されているオートブラケット撮影もαで採用されたのがはじまりです。α-7000、α-9000用に発売されたプログラムバックスーパーがこの機能にあたり、α-7700iではカードシステムとして採用、その後カメラ本体の機能として入られるようになりました。ラチチュード(露光許容域)の狭いリバーサルフィルムで最適な露光を得るための機能です。
AFセンサーの多点化にあわせ、この情報を用いてAEの精度アップを図る技術です。α-7700iから採用されました。アルゴリズム開発に際しては、写真店で使われる自動プリンターのアルゴリズムも参考にしました。
α-9000に搭載されたSpot測光には、ハイライト基準露光 / シャドウ基準露光を選択する機能がついています。「露出の決め方はどうあるべきか」を追求した機能であり、写真用フィルムの特性を十分に知り、かつどう決めた露出の写真が最も美しいかを探求して求められた機能です。写真用フィルムの感度の決め方にまで関係した写真用メーターの技術でした。
デジタル化されたα-7 DIGITALでは、フィルムに比べるとややダイナミックレンジが狭い撮像素子の影響を考慮して、ハイライトを飛ばさないためのHモードと、逆にシャドウをつぶさないためのSモードの2つのゾーン切り替え機能を設けました。この技術は、カラーネガフィルムからダイナミックレンジの狭い印画紙にプリントを行う際のノウハウをα-7に合わせて機能化したものです。撮影意図の反映、綺麗な写真を残すためのノウハウを技術にした結果です。
コニカミノルタはカメラ事業を2006年3月31日に終了しました。