ロボットの歴史は1920年に遡ります。旧チェコスロバキアの劇作家カレル・チャペックが、劇曲『ロッサム万能ロボット製造会社(Rossum's
Universal Robots)』の中で、人造人間を指す造語として「ロボット」という言葉をはじめて登場させたのです。人間の労働を肩代わりする存在として作られたロボットが、やがて戦争の道具として使われるようになり、団結して人間に対して反乱を起こすというこの物語は、機械文明に対する予言的な作品として評価を受け、ロボットという言葉も世界中で知られるようになりました。※邦題は『ロボット』岩波文庫 千野栄一(翻訳)
AIBOを生み出した現在のロボット文化は、このような形で約80年前の戯曲からはじまったのです。そしてその後も、小説・映画・漫画などを通して、忠実な僕(しもべ)から人間を支配する高度な知性体まで、ロボットのさまざまな姿と可能性が追求されました。特にわが国では、1951年に手塚治虫の漫画『鉄腕アトム』が登場。人に優しく人間と共生するロボットのイメージを決定づけたといえます。こうした数々の作品によって、実際のロボット誕生への機運が高まりました。
アトムから約10年後の1962年、世界初の実用ロボット第一号が登場しました。米国のユニメーション社とAMF社が開発した、「ユニメート」と「バーサトラン」いうプレイバック型(教示再生型)の産業ロボットです。これは、腕の形をしたアーム型の作業用ロボットで、人間がジョイスティックなどを使って操作した動作を記憶し、同じ作業を何度でも繰り返し実行できるというものでした。以来、ロボットは40年以上の歳月を重ねながら進化の道を歩んできました。姿や形は違いますが、AIBOもこうしたロボットの仲間なのです。 |