AIBOは、家庭の中で人間と暮らすエンターテインメントロボットに必要とされる、さまざまな機能を備えています。第3章で解説した、情報を取得し、ひとりで行動をする「自律行動」の機能もそのひとつでした。そしてもうひとつ、人間との共存で必要なのが「コミュニケーション」の機能です。人間が伝えたいことを理解するのはもちろん、自分が人に伝えたいことも表現できる。AIBOはこの2つの能力を兼ね備えた、人間とコミュニケーションをするロボットなのです。
AIBOのコミュニケーション機能は、1.人間が伝えたいことを理解する機能と、2.AIBOが人に伝えたいことを表現する機能の、2つで構成されています。前者は、AIBOが自律行動に必要な情報を取得するために使っている、各種のセンサーと認識プログラムをそのまま使って実現しています。これはAIBOから見た場合、人間の存在というのは、自分をとり巻く世界(環境)の一部になるからです。平たくいえば、人間が伝える情報を理解する能力とは、まわりの世界を認識して自律行動に必要な情報を取得する能力と同じだといえます。
一方、後者のAIBOが人に伝えたいことを表現する機能は、光を発するLED(ランプ)をはじめ、音やメロディを出すスピーカーなどのハードウェア、そしてボディランゲージによる喜びなどの感情や、イエス/ノーなどの返事・要求を表現する能力によって実現しています。このように充実したヒューマン・インターフェイスを備え、さまざまなレベルで人間とコミュニケーションできるのがAIBOの特徴です。
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