オリジナルの「ロボット工学三原則」は、1950年に米国のSF作家アイザック・アシモフが短編集『われはロボット』の中で発表したものです。「ロボット工学三原則・AIBO版」では第一条はそのままですが、家庭で人間と共存するロボットであることを考慮し、AIBO流に拡大解釈をしています。
具体的には、AIBOの開発では、厳しい安全基準による塗装材の毒性チェックや、尻尾の部品などに穴のあいたデザインを採用するなど、細部にいたるまで徹底した安全面での配慮を行っています。小さな子供が間違って部品を飲み込んだ場合でも、安全性を確保するためです。人間に危害を加えないという点を、AIBOの行動だけではなく、材質やデザインにも適用しているのです。また、AIBOは関節の間に何かを挟み込んだ状態を検知すると、自動的に脱力した状態になるように設計されています。これも、間違って挟まってしまった人間の指を痛めないようにという安全面での配慮です。
第二条、第三の内容はAIBO独自に改訂したものになっています。この2つの項目は、AIBOならではの自律行動と、個性や感情表現などのエンターテインメント性の要素として実現されています。AIBOは人間に命令されなくても、自分で考え行動する自律型のロボットです。そのため、AIBOから人間に対して本能や感情にもとづいた、さまざまな行動を起こしコミュニケーションを行います。しかし、感情や個性を持ち、自律行動をするゆえに、気分の悪いときには言うことを聞かないということもあるのです。このように、第二条、第三条は、家庭の中で人間と楽しく・おもしろく共存するために、エンターテインメントロボットとしての独立した存在へとつながっています。 |