6大学と協働で講義を相互提供できるシステム。 HDの2画面構成で、カメラ映像とPC映像を同時に確認。 文部科学省が2012年度に開始した「大学間共同教育推進事業」で、兵庫教育大学が代表校として申請した「教員養成高度化システムモデルの構築・発信」の取り組みが採択されました。これは、「教員養成機能の高度化を推進するとともに,地域の教育の質の向上を図るため、大学院に教職課程を持つ兵庫県内の国公私立6大学(兵庫教育大学、兵庫県立大学、神戸学院大学、神戸女子大学、神戸親和女子大学、武庫川女子大学)と兵庫県教育委員会、神戸市教育委員会が連携協働し、大学院の特色ある教職科目を双方向に提供するシステムモデル等を開発し、全国に発信する」内容となっています。昨今、いじめや体罰など、学校をめぐる社会問題が増えています。この状況に対応するには、アカデミックな知識だけではなく、教員としての専門性を高めていかなければなりません。専門性の高い教職科目を相互に受講するという取り組みによって、現状は大きく改善できるでしょう。この取り組みを実践する上で、ビデオ会議システムによる遠隔の講義は不可欠な存在となります。 管理・運用・保守を含めた信頼性の高さと「セキュリティ」を重視。 必要な機材をラックにまとめメンテナンス性を向上。 ビデオ会議システムを講義で利用する上で、いくつか重要なポイントがあります。HD映像による高精細な画像や伝送される音声の品質が高いことはもちろんですが、管理・運用・保守を含めた信頼性の高さについても留意する必要があります。また構築に関しては、インフラからシステムまでワンストップで提供できること、および将来的な保守・サポートも考慮しなければなりません。6大学と2つの教育委員会で相互連携するシステムということもあり、導入後の管理・運用・保守は非常に重要です。次に、「セキュリティ」について検討しました。大学のシステム担当者は、「セキュリティ」を非常に重要視する傾向があります。今回の取り組みの場合、連携大学との接続が前提であることもあり、多くのシステム担当者から「帯域的には問題ないが、セキュリティ上の懸念がある」という声がありました。本システムでは公衆回線を利用することができるため、各大学や教育委員会のネットワークに接続することなく利用することができます。 以上が、ビデオ会議システム導入時に必要な要件でした。 インターネットVPNを活用することでセキュリティにも配慮。 各連携大学にビデオ会議システムを導入し、ネットワーク経由で相互接続しています。通信システムについては、各大学の学内ネットワークには接続せず、新たに公衆回線を敷設しました。bit-driveのインターネットVPNを利用することで、各大学の学内ネットワークを利用することなく相互接続できるようになりました。また、各大学のビデオ会議システムにはHDDレコーダーを、データセンターには録画サーバーを設置し、遠隔講義を簡単に録画できるようにしました。これにより、「講義」という資産を残すだけではなく、模擬授業でも活用できるようになります。
わかりやすいインターフェースや予約機能で、すぐに講義を始められる。 タッチパネル操作で簡単な操作を実現 「教員養成高度化システムモデルの構築・発信」という取り組みは、まだ始まったばかりです。現在は、実習システムの構築や試行、カリキュラムの検討や単位互換の調整など、準備を進めている段階です。遠隔講義システムについては、まだ今年度は試験運用期間中のため、効果が見えてくるのはもう少し先になりそうです。ただ現段階で言えることは、画質・音質が高く、品質に全く問題がないということです。この品質であれば、遠隔であっても臨場感のある授業や研修が可能になるでしょう。 また、AVコントローラーのタッチパネルによるわかりやすいインターフェースを採用しているため、操作で悩む心配はありません。これまでのビデオ会議システムは操作が煩雑なものが多く、「始めるにあたって、覚えなければいけないことが多いのではないか」というイメージを持つ先生もいましたが、本システムに関してそのような懸念は必要ないと思います。 また遠隔会議の開催を「予約」することができるので、教室に着いてから接続作業する必要はなく、すぐに講義を開始することができます。このような使い勝手の良さも、メリットだと考えています。 拡張性が高く、自校内に導入したビデオ会議との連携も視野に。 遠隔講義中も接続先の状況や反応を確認。 今後は、実際に授業を実施し、検証・改善していこうと思っています。その中で、あらためて導入の効果も出てくるでしょう。各校と相互接続することで、高度な専門性と実践的指導力を持つ即戦力の人材を育成していけることと確信しています。ソニー製のビデオ会議システムは拡張性も高く、さまざまな接続形態もサポートしているので、本学の別のワーキングで構築しているビデオ会議システムとの連携なども模索できるのではないかと考えています。他校との相互接続だけではなく、本学内でも遠隔講義システムの利用を促進していくことで、授業を行う先生方の時間を有効利用できるだけでなく、学生も多くの講座を受講できるようになるでしょう。そうすれば、さらに多くのメリットが生まれるはずです。 遠隔会議システムやeラーニングのベンダーは非常に多く、競争が激しい市場だと認識しています。しかし、映像や音声という市場で古くから展開しており、ネットワークからインフラまで提供できるソニーというメーカーに、大変期待しています。
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