「遠隔医療モデルプロジェクト」実施を目指してシステムを構築。 「骨げんき教室」の風景。信州大学と松本市役所四賀支所をビデオ会議で接続し、遠隔指導を行う 今回のビデオ会議システムの導入は、2008年8月に総務省が募集した「地域ICT利活用モデル構築事業/遠隔医療モデルプロジェクト」に採択されたことがきっかけとなりました。松本市の委託業務のテーマは「ICTを活用した複合的遠隔予防医療事業」であり、医療の地域較差の是正と、高齢化による転倒や寝たきりリスクの軽減を地域課題として抱えている四賀地区における「医療関係者の負担軽減」を目的としています。具体的な事業内容は、「在宅看護」と「骨げんき教室」の2つで、「骨げんき教室」の遠隔健康指導を実施するために、ビデオ会議システムを導入することになりました。もともと「骨げんき教室」は、信州大学医学部の横川准教授が、週に2回市役所の四賀支所を訪れて指導なさっていたものです。信州大学医学部と松本市役所四賀支所をビデオ会議でつなぎ、開催頻度を上げ住民が参加しやすくなることと、医師の先生方や理学療法士の負担軽減を図るモデル事業として、遠隔指導で行うことが決定しました。(征矢様) HD高画質にもかかわらず低価格な点が決めてとなり導入を決定。 システム一式をキャスター付ラックに収容。容易に移動できる 機種選定にあたっては、信州大学医学部附属病院の滝沢先生に一任しました。滝沢先生は総合遠隔診療室において、同病院の先進的な医療技術と各医療施設の医療技術とをネットワークを通じて密接に連携させたり、在宅患者への遠隔診療支援を行うための高度遠隔医療を取り上げ、研究プロジェクトを実施してきた実績をお持ちです。「ICTを活用した複合的遠隔予防医療事業」の趣旨にあったシステムを選択していただけると信頼していましたし、実際に相応しい製品を選択していただけたと思っています(征矢様)「骨げんき教室」として遠隔健康指導を行うには、HD画質の映像送受信システムが必要だと考えていました。そんなときに、ソニーのHDビデオ会議システムPCS-XG80を紹介され、HD高画質にもかかわらず低価格であることを評価して導入を決めました。本体がコンパクトである点も評価しています。(滝沢先生) 信州大学と四賀支所をPCS-XG80で接続し、遠隔健康指導を実施。 「地域ICT利活用モデル構築事業/遠隔医療モデルプロジェクト」は、2008年12月から取り組んでいるプロジェクトです。採択が決定した10月から準備を進め、ビデオ会議システムを導入したのは3月でした。3月中にビデオ会議システムを使った試験的な「骨げんき教室」の遠隔指導を2回ほど行い、2009年度は、5月から正式にスタートしました。信州大学医学部と松本市役所四賀支所にPCS-XG80を設置し、CATV回線を利用した光ケーブルで接続しています。(征矢様)※CATV回線は、株式会社テレビ松本ケーブルビジョン様を採用 47V型フルHD液晶ディスプレイ FWD-S47H1 モニターには、ソニーのフルHD液晶ディスプレイ FWD-S47H1を採用しました。HD映像での通信を実現するPCS-XG80と、明るく高精細な映像を表現するFWD-S47H1との組み合せにより、参加者の動きや表情を確認することができます。参加者の様子をみながら運動量をある程度調整することもでき、遠隔健康指導には適切な環境が整いました。(横川准教授) 高精細映像により参加者と対面しているようなリアリティが得られた。 ビデオ会議システムを利用した「骨げんき教室」は2009年5月より実施。63名が参加登録している心電図や血圧計も用意し、市民の健康を管理する 2009年5月より、対面指導とビデオ会議システムを利用した遠隔指導の両方による「骨げんき教室」を実施しています。参加登録者は現在63名です。 私は信州大学にいながらモニター越しに骨密度を高める運動などを説明し、助言を行いますが、PCS-XG80の映像品質が非常にクリアなため参加者と直接対面しているように感じます。また、画像と音声のズレが小さいこともあり、ストレスをあまり感じないでコミュニケーションが取れると実感しています。(横川准教授) ビデオ会議システムの導入により、指導をしてくださる横川准教授にとって、信州大学と市役所四賀支所間の移動にかかる時間などが軽減されたのではないかと思います。 また将来的に他の地域へ展開した場合にも、先生や保健師の方々にとって、さらに山間部などにお住まいの参加者にとっても負担が少なくなり、より多くの住民に気軽に参加してもらえるのではないかと考えています。(征矢様) 各地域に対しビデオ会議を活用した保健事業を展開していきたい。 なめらかなHD映像により、モニター越しでも細かい動きや表情がはっきり見える 市内には医療施設が整っていない地域もあります。「ICTを活用した複合的遠隔予防医療事業」は総務省委託事業であり、将来どのように展開していけるのか現段階ではまだ分かりませんが、今後、市全域に展開できることが望ましいと考えています。CATV回線などのインフラが市全域に敷設されれば、ビデオ会議システムを活用して各地域へ医療サポートを行っていける可能性は高いですね。また、会議用途になりますが、今年3月に行われた四賀地域連携高度在宅医療協議会でも、ビデオ会議システムで3拠点を繋いで会議を行いました。今後は、遠隔会議にも積極的に活用していきたいと思います。(征矢様)
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